第20回SO GOODBYE
2022年8月4日(木)
ベータは荷物をまとめていた。絵里江さんのマンションに引っ越すのだ。
色々処分しないとな。我道が部屋の入口に立ってる。
「このマンションセンセにあげるっていってるのに」
「お前嫁入り前だろ。俺と暮らしてるわけにはいかんでしょ」
「私たち、なんだったのかしらね……」
「一番仲のいい友達だろ」
我道は少し悲しげな表情をするが「そうよね、これからも友達ね」涙を拭うような仕草をする。
「俺はお前みたいな金持ちじゃないから、食う物なかったら奢ってね。よろしく」
「センセ握手しよう」我道は手を伸ばす。
ベータも手を伸ばし、我道の手を握る。柔らかい女の子の手だ。
「最後に聞くけど俺のどこが良かったの?」
我道は少し間を置いて「全部よ」少し照れたように手を離す。
「ふーん全部ね、そりゃおおきに」
我道は今にも泣きそうな表情でリビングに引っ込む。
友達か、難しいねえ。ベータはボストンバッグ2つ担いでマンションを後にする。
陽は傾きかけていた。希望という名の陽だまりと言えるのかねえ。
2017(H29)5/16(火)
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