第23回夜の灯台

7月26日金曜日。


ベータはこの2.3日ほぼ寝て過ごした。暇なときは映画を観るか、本を読んだ。これだけの爆睡の日々は久々だった。


ベータはもともとあまりDVDを買わない。所持してるDVDも10本に満たない。だから何度も何度も観返した。


一応安いブルーレイレコーダーを持ってるので、地上波で留守録した映画も20本くらいは溜まってる。途中のコマーシャルを飛ばすのが面倒なので、なかなか片付かない。


ずっと籠ってたから外に出るか、しかし暑い。レコード屋でも行くかな。


近くのHMVへ行ってみた。CDなんてこの2,3カ月買ってない。


色々物色して洋楽の昔のCDを2枚買う。夕食は松屋の牛焼肉定食で済ます。


なんか平和な毎日だなあ、高校教師なんか疲れるよな、色んな意味で体に良くないし……。


しかし美少女ばっかってのも大変だよな、下手なこと出来んもんな。


レンタルビデオ屋へ寄るが、観たい映画はほぼ貸出し中なので、そのまま帰宅。


部屋の前まで行って後ずさりする。女子高生がベータの部屋の前で座り込んで前屈みで顔を伏せて寝てる。


誰だろうなと思い、肩を揺すってみた。顔を上げると誰かわかった。うちのクラスの遠藤えんどうくすみだ。


「お前らどうやって俺の家知るんだ?」


「ああ先生か、岸森に聞いた」


「まったく、まあいいちょっと上がれ」


遠藤くすみは2年A組でも常にベスト5に入ってくる優等生。


フレームの小さい眼鏡がトレードマークのいわゆる眼鏡美人、眼鏡を取った顔も結構イケてる。


遠藤くすみは何か憔悴しきった顔をしてる。


「なんかやな事でもあったのか?」


「毎日ユーウツですよ」


遠藤は唇を噛みしめ、涙をながす。


「まあ、色々悩みは尽きんよな」


遠藤は涙を拭う。


「もう帰った方がいい」


「帰る」


泣き過ぎで声が波打ってる。


「送ってくよ」


遠藤はなんか体もフラフラだ、ただでさえ痩せてるのに相当やつれてる。


「なんかお前ちゃんと食ってるか、ガリガリだぞ」


「うん大丈夫です」


遠藤を家まで送り、夜8時になった


どっかで一杯やるかな。


そう思った矢先バー”リデル”の目の前だった。


どうしようかな?


2013(H25)9/17(火)・2018(H30)5/4(金)

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