第22回天使さん、こんにちは

「何をしている、お前らの来るとこじゃない、ほらほら出ろ」


とりあえず3人を成人コーナーから出す。


いずれ劣らずの美少女3人、やばいよね。


「先生、いけないんだ……」


浅利が厭味ったらしく言う。


「男なら当たり前なの」


「あ、先生開き直ってる」


野上も厭味ったらしい。


「とにかくこんなレンタル屋で押し問答しててもしょうがない、出るぞ」


ほとんど引っ張り出すように3人を外に出す。


「先生、痛いなあ」


「わかった、マックでなんかおごるから」


「ほんと?やったね!」


予定調和のように岸森が叫ぶ。


わたしは何をやってるんだろう、こんなガキンチョ相手に。


マックは学生で賑わってる。


「お前ら補習ないのか?」


浅利は面倒そうに目を泳がせて言う。


「今日は違う」


野上と岸森は成績上位なので問題はないが、浅利はやれば出来るのにさぼりがち。


「先生もマックナゲット食べなよ」


岸森は相変わらず天使のような笑顔で語りかけてくる。


この3人それぞれタイプはちがうものの世間で言う所の美少女17歳。


いいのかね、俺はこんなことしてて……。


別れ際、野上がこう言う。


「先生さ、我道幸代だけは注意した方がいいよ、あの子普通じゃないから……」


そんなことはわかってる。


「お前らも油売ってないでしっかり勉強しろよ」


3人はそれには答えず、背中を向けて歩いていく。


「まったく、映画見る時間なくなっちゃたじゃんか」


その時携帯が鳴る、ヒツウチなので出ない。



我道幸代はショット・バー・リデルで携帯を置く。


バーボンのロックをすすりながら。


「本城ベータ、へんな名前」


そして、ククククと含み笑いをした。


2013(H25)9/14(土)・2018年(H30)5/4(金)


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