Endless Summer All Night 第3部

第21回ハイスクール・アンビバレント

2年A組の学級委員北島守はイラ立っていた。


ベタ惚れの野上薫子は副担任の本城に夢中だし。


学力テストでは結果的とはいえ野球部の遊び人中島より順位が下だったし。


大体なんで我道が1位なんだ、総合で3教科298点?


A組のボスは暗黙の了解で我道だ、それは認める。


我道と言えば合気道や剣道の有段者で、柔道も黒帯らしい。


だから奴に喧嘩でも勝てる男子は一人もいない。


何から何までパーフェクト、面白くない。


かといって自分が太刀打ちできる相手じゃないのは北島自身痛感している。


認めたくないのだ、我道よりレベルが低いということに。


どうあがいても我道には勝てないんだからいいとして。


問題は野上薫子だ、彼女をものにしたい。


それも叶わぬ夢か……。


とにかく本城の野郎が憎い、なんであいつはあんなモテるんだ。


浅利恵子も奴にベタ惚れらしい。


その浅利と野上が最近本城に積極的じゃない理由はなんと我道が動き出してるからという噂を聞いた。


我道ですらあの本城に惹かれてるのか?


何もんなんだあの本城って奴は?


ただの30代の男なのか?


17歳の俺がガキすぎるのか?


北島守は早朝にランニングに出る。


家でウジウジ考えるより外へ出るタイプだ。


「畜生!我道め!本城てめー!野上愛してるよー!」


誰も聞いてないのを確認して、小声で叫んだ。


しかしあまりの空しさに頭を抱えた。


うーそんなに俺って駄目なのかね?


北島は落ち込みながら公園の方へダッシュ。



7月23日火曜日の昼間本城ベータはレンタルビデオ屋へ向かっていた。


店の近くでどうも見覚えのある後姿の女子高生が三人歩いてる。


逃げようかなと思ったが思い切って話しかけた。


「浦兼、添木、我道、偶然だな」


「先生こんにちわ」


浦兼は挨拶するが、添木はブスっとしてるし、我道は相変わらず無表情。


「お前ら制服着てどこ行くんだ?」


「私たちこれから補習だよ、先生」


浦兼は即答する。


「浦兼や添木はわかるけど、学年1位の我道まで補習なのか?」


「幸代は付き合いで来てくれてるの、色々教えてくれるしね」


浦兼は金髪だが、素直な素朴風美少女。


待てよ、今気付いたんだが、A組でブスって一人もいないよな?


全員美少女だ!すげー!なんちゅう環境。


「先生どうかしたの?」


「いやいや、いってらっしゃい、俺は来月初めまで学校に行かんから」


「わかりました、加奈子、幸代行こう」


仲良し三人組か、微笑ましいね。


さてとなんのDVD借りようか?


店で物色して成人コーナーに入ると、


「ヤッホー先生のH!」


後ろには岸森と浅利と野上が怪しい目つきをして、徐々に勝ち誇るような目つきに変わていった。


まずい状況だな……。


2013(H25)9/11(水)・2018(H30)5/4(金)


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