太陽結末

むかし、大人達は太陽を見るなと言った。何故と問うたら返事はない。子供心は好奇心。誰かに教えてもらえると思って居たのだろう。しかして大人達は自らを照らす光を忌み嫌っていた。

理由なんてわからない。理解できない。聞いたところでわかるはずなんて無いのだ。

大人達は忌み嫌う。けれどありがたいと感じている自分とは全てが違う。

むかし、太陽を覗いた者がいたらしい。そのものは目を食い破られた。光を見過ぎたのだ。光に自分の見るべき光を殺されたのだ。

その人は太陽結末なんてカッコイイ言葉を残したが実際は自業自得。距離すら分からない光がこの場所を照らしている。そのこと自体が異常なのだ。

人たちは一様にその人の言葉を信用した。笑いもせず、馬鹿にすることもなく言葉を信用した。

そうして大人は太陽は怖いものと子供に教えた。

僕だって異常なのかもしれない。教えられてもまだ太陽はありがたいと思っているからだ。常識を信じられない。

だから僕は目を向けた。光に。

ずっとずっと見続ける。この光が終わるまで見続ける。

次第に光は無くなる。

これが結末。暗闇の中で一人になる感覚。

太陽はこの日墜ちた。

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孤独町 楠木黒猫きな粉 @sepuroeleven

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