第17話 ヴラド城


 聖都市を出て未確認のそれもネームドと思われる魔物が出現したとされるダンジョンのヴラド城へ向かう。


 その魔物が今もヴラド城にいるとは限らないが、その魔物だけでなく元よりヴラド城の城主でネームドであるヴァンパイアの王[ヴァンパイア・スカージレット]がいる。


 ネームドの中でも有名な魔物であるが穏健派の魔物とされ、ヴラド城の外に出て被害を及ぼすことはなくこれまでは攻略が後回しにされていたので、聖騎士団としてもヴラド城へ初めての遠征となる。


 当然Sランクの魔物であるスカージレットを相手にするだけでも本来は手に余る相手なのであるが、未確認の魔物はスカージレットよりは弱いという想定だ。


 今回の遠征では未確認の魔物を倒すことを第一の目標にしているが、その魔物を確認出来なかった場合はスカージレットの情報を手にいれて、次の攻略遠征への活かせる成果を手にいれたい。


■■■


 ヴラド城までの道中は特筆すべき出来事もなく、難なく到着することが出来た。やはり聖騎士団のヴァニティーが地竜で地上から、イヴリースが飛竜で空から警戒してくれているのが大きい。

 ユウトがいる本隊に到達する前に魔物が駆逐されていくので、実に快適な旅で疲れることなく、それにイヴリースについてくる女騎士がまた可愛いくて、目の保養にもなった。


 そしていよいよヴラド城に到着した。


 重々しい雰囲気を醸し出す巨大な古城は崖の上にあり、周りを森で囲まれている。

 今は国からのお達しでギルドを通して立ち入り禁止措置がとられており、破ればギルド員資格の剥奪という厳罰を課されるので冒険者は誰もいない。なので静寂に包まれた古城は不気味さを増す。


「さぁ、いよいよ城へ入るんだな!」


「ええ、そうでございます。まずは彼らが先導致しますので我々はゆるりとついていきましょう」


 ヴァニティーとイヴリースが隊を先導して率い、これまでヴラド城に挑んだ冒険者と斥候からの情報をもとに順調に攻略を進めていった。


■■■


 地竜や飛竜は大きく城のなかに入れないので、聖騎士団の二人は徒歩で隊を先導する。


 低層にいる魔物では圧倒的な戦力差があり順調にヴラド城を攻略するも、なかなか未確認の魔物に遭遇することができない。


 このまま未確認の魔物に遭遇することなく、ヴラド城の攻略になるかもしれない。

 皆がそう思い始めた頃、誰も到達したことの無い未踏エリアに到着した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る