第14話 大規模遠征の準備


 ネームドと呼ばれる魔王の幹部それも未確認の魔物が現れたということで、ユウトはダンジョンの一つヴラド城へ侵攻することに決めたのだが、生半可な相手ではないことはAランクのマローという冒険者が軽々と返り討ちにあったことからも分かる。


 なのでこれまでのように勇者パーティーだけでなく、少しでも消耗を押さえられるように多くの衛兵を引き連れ大々的に遠征を行うことになり、様々な準備が進められる。


■■■


「おいおいこれは流石にやり過ぎなんじゃねぇのか?」


 国を上げて勇者の御披露目と、出立式が行われることになったのだ。その為、聖都市ではお祭り騒ぎの様相を無している。


 急な話なので国中に伝達するに至らなかったが、それでも首都全体を巻き込んでのことなので十分規模が大きい。


「いえいえこれぐらいは当然でございますよ。何と言っても勇者ユウキの後継者なのでございますから、皆が期待しているのでございます」


「期待してくれるのは一向に構わないんだけど……で遠征の準備の方はどうなってるんだ?」


「はい、もちろん着々と進んでおります。千人規模の衛兵と、聖騎士団の派遣も準備しております」


「聖騎士団ってガーゼットみたいな奴だろ? 強いのは確かだろうけど、あいつより弱い奴らじゃねぇだろうな」


 ガーゼットも強いは強いが、アヴラムと比べると頼りない。それに派閥があるのか慕ってくる奴と警戒して見てくる奴がいて当たり外れがある。


「ええ今回はガーゼットよりも強い方々が手を貸してくれることになっております」


「へぇーやっぱりガーゼットより強いやつはいるんだな……なら何でガーゼットが俺のパーティーに加わることになったんだ?」


「それは……申し訳ございません。枢機卿方が決定なさったことですので、一神官である私の知る所ではないのです」


「あっそう。ならその枢機卿とやらに聞くから案内してくれ]


「申し訳ございません。それは難しいかと」


「なんでだよ、未だに教皇にも会えないしどうなってるんだよ!」


「枢機卿方はお忙しい身ですので事前に予定を立てなければいけないのですが、ユウト様は要請があれば魔物討伐に赴く必要がありますので予定が立てられないのです。教皇様は……」


「分かってるよ、教皇は病に臥せっていて誰とも会わないんだろ」


「作用でございます。枢機卿方にはどうにか出来ないか話を通しておきますので、此度の遠征後までお待ち下さい」


「あっそ、まぁいいよそれで。それで派遣される聖騎士団の奴らはどんなやつなんだ?」


「ヴァニティー殿とイヴリース殿です」


 聖騎士は男だけだと思っていて、女の聖騎士がいるとは思っていなかったので驚く。そしてイヴリースは年齢が同じぐらいだと聞いて興味がわく。


「へぇー、ヴァニティーはともかくイヴリースとやらには早く会ってみたいな」


「後日、顔合わせを致しますのでその時にお会いできますのでお待ち下さい」


「ああそうか。まぁ俺は俺のヤるべきことをしてくるかな」



 こうして大規模遠征に向けて各所で皆が動き出すのであった。


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