第13話 ネームド?
アヴラムがパーティーを抜け、代わりにガーゼットが加わり新しいパーティーが結成されてから一月が経過しようとしていた。
新たなパーティーになって以降も各地の魔物討伐に明け暮れる日々。もちろん各地で接待を受けるわけだが、その中でユウトも順調に戦闘の経験を積み自信をつけていく。
そして詠唱は覚えられないが魔石が付いた指輪のお陰もあって魔法の行使にも徐々になれてきた。覚えられないものは覚えられないので、ごく簡単なもののみだが名称のみで魔法を発動させることで乗り越える。また魔道具と呼ばれるアイテムであれば魔力を注ぎ込めば使えるので重宝した。
城に帰ればメイドの何人かとも仲良くすることが出来、さらに自由が確保されているので順風満帆な日々を遅れるようになってきたのだが、ユウトの果たすべきは魔王討伐である。
そして魔王討伐の為にはその前に倒しておかなければいけない相手がいるらしい。
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[ネームド]
そう呼ばれる魔物の種族名とは違う個別の名前を持った魔王の幹部となる魔物を先に倒さなければ魔王を倒すことは難しい。
その為に聖騎士団がこれまでに、来る勇者召喚に備えて各地のダンジョンや迷宮といった場所にいる[ネームド]の情報を集めて討伐するために奔走していたそうだ。
そしてその[ネームド]と思わしき魔物がダンジョンに新たに現れたらしく、聖騎士団に報告が上がってきたらしい。
そのダンジョンがある場所はヴラド城と言いもとより[ネームド]として最も有名なヴァンパイアの王[ヴァンパイア・スカージレット]がいるとされていたのだが、そこに未確認の魔物がいきなり現れAランク冒険者のマローが返り討ちにあったらしい。それも全く歯が立たずにだそうだ。
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神官に報告されたユウトは当然とばかりに宣言する。
「なら俺たちが倒しに行かなければいけないだろ!」
「ですがユウト様はまだ準備が出来ておりません。[ネームド]はそう簡単に倒せる相手ではないのですよ?」
「だからと言って放っておいても良いもんじゃねぇだろ! 勇者である俺がやらなくて誰がやるんだよ! 放っておけばさらに被害がでるんだろ?」
「そうでございますか……ユウト様がそう仰るのでしたら私めはご協力させていただきます。では直ぐにでも最善を尽くして準備を致すとしましょう」
こうして今までランクの高く無い魔物とばかり相手にしてきたが、遂に魔王討伐に向けて本格的に動くことになった。
神官がユウトの言葉を聞いて悩んで承諾したようだが、その時に神官の口許が緩んだことそしてその理由を知るのはまだまだ先の話である。
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