第11話 離別する
城に帰ったのち、どうやらアヴラムが悪巧みをしているとやらなので神官が対処してくれるらしい。
数日後、何やら重要な話があるということで再び王の間に呼び出される。
いつも真っ先に集まっているのにいない所を見るに、アヴラムだけはまだ呼び出されていないようだ。
「今日はどうしたんだ?」
「ようやく手はずが整いましたので、アヴラムの処遇を王に決めて頂こうと思うのです」
「ああ、そんな話をしていたな。それでどうするんだ?」
「報告に上がっている事柄などを追求し、王様に断罪していただく予定となっております」
「あっそうなんだ。まぁ許してやってもいいんじゃね? 実際に何かをしているという証拠があるわけでは無いんだし」
「それはいけません! 火の無いところに煙は立たないのです。放っておけば勇者様の立場が脅かされるのですよ?」
「まぁそれもそうか……」
事前に話を終えた後にアヴラムがやってくる。
そして王が自らアヴラムの罪を問いただし、神官がその罪を断罪しようとする。
アヴラムは態度、そして謀略を問いただされるもアヴラムは肯定も否定もしなかった。
態度に関してはむしろ俺の方が悪い気もするので、やっぱりアヴラムをフォローする。
「待ってください! 彼にも彼なりの事情があったのでしょう。我々は勇者であって聖騎士団とは違うので、その違いに戸惑うことも多いでしょう。なので疲れて混乱していたのではないでしょうか?」
神官は喋るのを止めさせようとしてくるが、俺が喋りたいのだから止めるつもりはない。
俺が言うならということでアヴラムをこの場で断罪することはなかった、この後は聖騎士団で同様に罪を改めさせるらしい。
審問会議は滞りなく終わり結論としてはアヴラムが全面的に悪く、聖騎士団としての行いに相応しくないとされ謹慎処分とされた。
そして武器を全て取り上げることになったそうだ。
■■■
次の日、聖騎士団での処分が決まったのだがアヴラムはパーティーの一員なので処遇をどうするか話し合う為に国王の元に再び集められた。
俺としては直接何かをされたわけではないので、このままパーティーにいても別に問題ないと伝えた。
「アヴラムよ! 心を入れ換えて勇者に付き従うのであれば、ワシはお主を咎めたりはせぬわ。勇者もお主のことが心配だからこそ、今回のことは水に流して赦してくれるそうだ。それに勇者だけでなく皆も心配しておるぞ」
「そうですよ、もし貴方が改心するのであれば謹慎を解除してもらえるように口添え致しましょう。それに今すぐ新たに剣を与えます」
国王と神官から説得するもアヴラムは心ここにあらずといった感じで、国王と神官の進言を断りパーティーからも聖騎士団も辞めるそうだ。
「なっ!! お前は国王のせっかくのご配慮を無下にし、さらには王命にも逆らうつもりか!?」
「ええ、ここに私の居場所はもう無いのです。このままパーティーにいること、そして聖騎士団にいることで軋轢を生みかねないので自ら引かせて頂きます」
そう言い残しアヴラムは王の間を後にした。
国王はまさか聖職とも呼べる役割を放棄されると思っていなかったので唖然とし、神官は想定と違ったからか怒り狂った。
そして勅命を反故にしたアヴラムへの処遇はかなり重たいもので、特権の剥奪、名誉騎士としての称号剥奪、これまでの功績の削除、聖騎士団からの永久除名などであり、これまでの実績を全て取り消し騎士としては追放処分にされるということらしい。
『そこまではしなくてもいいんじゃないか?』と聞くも『後任は直ぐに手配するから心配しなくて良い』とのことだ。
こうして俺のパーティーからアヴラムが抜けることになった。
近接戦闘を行うアヴラムが抜けたので俺の負担が増えるかもしれないが、まあ俺には大聖剣があるから何も心配は無いかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます