第10話 歯止めが無くなる
国王から大聖剣を貰ったのだが、どうもおかしい。
気分が高まって感情を抑えることが出来ないのだ。
まぁ気分が悪いわけではなく、むしろ調子は良いので問題はないのだが。
■■■
再び魔物の討伐を行うことになったのだが、大聖剣の力のお陰なのか魔物がかなり弱くなった気がする。
魔物に対する恐怖心も無くなったし、剣を振るうのがこんなにも楽しいモノだったなんて今まで思わなかった。
今までの戦いと違い魔物を切るのがスムーズだ。
そして討伐を終え、とある町にやって来た。
目の前に腰の高さ位の植物がある。
「確かゼ○ダでは……」
衝動にかられ『回転切り!』と言いながら草を刈ってみたのだがやはりお金は手に入らなかった。
アヴラムに『何してるんだ!』と慌てて止められたが、こうすることでお金が手に入ると思ってしまったのだから仕方ないだろ?
それにしても樽や木箱を壊してもろくなアイテムは出て来ないものなのだな。
■■■
その後も勇者は樽や木箱を壊していき、出てきたアイテムを自分のものにしていた。
これは大丈夫なのか聞いてみても、神官は問題無いと言うし、勇者は村人に『何を……』と困惑されても『いや勇者だから普通っしょ!』と悪びれる風もない。
それに回りのパーティーメンバーも特に気にする様子もない。
(これはあれか、自分の方がおかしいのか?)
アヴラムは頭を抱えるが、村人の顔を見ると、どう見ても迷惑そうにしているので自分が間違っていないと思い直すが、それでももはや自分に勇者を止めることは出来なかった。
(というかこれはもうかかわり合いを持ちたくないのだが……)
■■■
後日、いつものように個室で諸事を済ませ外に出ると神官が話があるとのことで別の部屋に案内され、そこにはアヴラムを除くパーティーメンバーが集められていた。
「どうしたんだ?」
「それがですね……」
どうやらアヴラムが俺に不信感を抱き、さらにはこのパーティーを乗っ取って活躍することで聖騎士団の団長にのしあがろうと画策しているらしい。
「そんなことが……」
「はい、このままでは勇者様の立場が脅かされるやもしれません」
「それは駄目だ!」
「ええ、ですから……」
何やら神官の方で画策してくれるらしい。
まぁ俺の立場が安泰なら別にどうでも良いのだ。
だが本当にアヴラムがそんなことを画策していたのだろうか?
いいやつだと思ってたのだが、人は見かけによらないってことか。
まっどっちでもいいんだけどな!
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