第8話 欲望のままに


 始めて魔法を行使することが出来たのだが、同時に魔力の枯渇で気を失ってしまった。


■■■


「勇者様、御気分はいかがでしょうか?」


「俺はいったい……」


「魔力を一度に解放したことで魔力欠乏症を発症したのです。詠唱を破棄するとコントロールが難しく魔力が過剰供給されたのでしょう。元は魔力をお持ちでないので大事には至りませんでしたがお気をつけください」


「だが詠唱はこっぱずかしいから何とかならないのか?」


「そうですね。ではこちらの指輪を常に嵌めておいていただけますでしょうか?」


「なんだこの指輪は?」


 黒い宝石みたいなのがあしらわれた銀の指輪だが、嵌めると何だというんだ?


「こちらは高純度の魔石をあしらった指輪でございます」


「魔石ってあれだろ、魔物からとれる魔力の塊みたいなやつ」


「はい、そうでございます。そしてその魔石は特別に加工されたいわゆる魔結晶と呼ばれるもので、勇者様に合わせて特注致しました」


「へぇー、それで嵌めるとどうなるんだ?」


「常に魔力を供給出来ますので、魔力欠乏状態になることを防げます」


「ほぉー、それは便利だな」


 見た目も黒くてカッコいいので気に入った。


 魔法は使いたいが、気を失うのは嫌だから常に嵌めて置くことにしよう。


■■■


 後日、討伐訓練も進み魔物退治のために地方にやって来たのだが、思ったより時間が掛かったので近くの村に泊まることになった。


 城では最高級のもてなしをされてきたので、町で下宿するのは不安だったが、神官が先に話をつけてくれて村長宅に泊まることになった。


 大部屋におっさんたちと雑魚寝するのも嫌だと思ったら、俺だけ個室に泊まらせて貰えるらしい。


 そして食事の時から妙に村長の娘が傍らにいるなと思ったら、夜のお相手もしてくれるらしい。


 見た目も悪くないので俺としては願ったり叶ったりなのだが、一応は確認する。


「本当にいいのか? まだ知り合って間もないのに」


「ええもちろんです。一目見た瞬間に勇者様を好きになったのです。いや……ですか?」


 もちろん嫌ではないので首を振るう。


 こうして俺は卒業することが出来た。


■■■


 翌日、娘と一緒に食事をする。


 別れるのは惜しいが、勇者である俺が何時までもこの村に居続けるわけにもいかないからな。


 そして村を出た後に神官から助言をされる。


「これからもっと活躍されれば、これからもより多くの女性が勇者様の虜となりましょう!」


 我ながら分かりやすい性格だなと思うが、次の日からの魔物討伐を今まで以上に頑張った。


 そして何人もの女性と関係を持つことが出来た。


 卒業してからみなぎる自信がとどまるところを知らない。


 これはハーレムを築くことも不可能ではないな!

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