第6話 ユニークスキル
魔王を討伐が最終目標としても、直ぐにそれができるわけではないらしい。
そしてそもそも魔物と戦えるように訓練しなければいけないとのことだ。
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「めんどくせえー。こんなのはご都合主義じゃねぇのかよ!」
こういう下積みとかは勇者補正でなんとかするべきだろ。
神に召喚された男だぞ?
何とかしようとしたらどうとでもなりそうなものなのに、あの神には優しさが足りないな。
不満に思っているとアヴラムに説得される。
「そういうなってユウト。こういう訓練をしていないと怪我するのは自分だぞ? いざというときに自分を守れるのは自分だけなんだから」
「そんなものか? そんなものは装備とか神からのギフトとかで何とかしてくれてもいいじゃねぇか」
「神からのギフトってそんなことはあるのか? 物語にもなっている[勇者ユウキの物語]でもしっかりと訓練して努力した結果強くなったみたいだぞ」
「はん、そんな昔の話は知らねぇよ。確か神は俺に特別なユニークスキルをくれたらしいから、それで何とかなるだろ普通?」
「ユニークスキル! それは凄いな、真人族でユニークスキルを取得できる人は100万人に1人だぞ。因みにどんなユニークスキルを持ってるんだ?」
「どんなって……そういえばどんなのか教えてもらってねぇ!」
そんなことを叫んでいると神官が話に入ってきた。
「それならば直ぐにお調べすることが出来ますよ」
「ほう。それなら早くやってくれよ!」
「分かりました。それではこちらへ来ていただけますかな?」
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案内された先にあったのは、魔方陣とコンソールと呼ばれる石だった。
「なんだよこれ、ここで何をするんだ?」
「冒険者がギルドに登録するように、教会、聖騎士団でもステータスの登録を行えますので、ここで勇者様のステータスを調べることができるのです」
「そうか、ならよろしく頼む!」
■■■
俺がコンソールに手を当てると、直ぐに魔法陣に魔力が注がれたのか淡い光に包まれる。
しばらくすると、体の周りから光の珠が出てきて、そして次第に一ヶ所に集まっていき、一つの大きな光になるとコンソールの中心に吸収されていく。
光が収まった場所を見てみると、そこはプレートになっていて、取り外して確認すると、そこには既に今の自分の情報が刻まれていた。
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名前:[タニガワ-ユウト]
ランク:[G]
称号:[勇者]
所属:[聖騎士団]
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裏
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ステータス
状態:[異常無し]
能力:[体力C][魔力-]
スキル:[魔力吸収EX]
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「おい! 魔力の表示がおかしいぞ! それとこのスキルってなんだ?」
「魔力が表示されないのは魔法が無い世界からやって来た召喚勇者だからでごさいます。魔力の才能は幼少期に開花すると言われているので、年を重ねるとどうしようもないのです」
「なら魔法を使えないのか?」
せっかくファンタジー世界に来たのに魔法が使えないなんて神に聞いてないぞ。
『あいつめ……』と呟くも、どうやら使えないことも無いらしい。
「いえいえ、勇者様がお持ちのユニークスキルがこの問題を解決します。どれ程のことが出来るのかは、なにぶん初めてみるスキルなのでわかりません。ですが他者の魔力を吸収して自分の物にすることが出来るのであれば、魔法を使うことも可能でしょう」
「このスキルはそんなに凄いのか!」
どうやら神は本当に良いユニークスキルをくれたらしいな。
「ええ、勇者様はやはり特別な才能をお持ちでございます」
憂鬱な訓練だが、魔法を使えるようになるなら話は別だ。
神官におだてられて、さっきの重い足取りが嘘のように軽くなるのだった。
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