23話 ゲーム内結婚式もゼ〇シィ?

 本格的に結婚式準備を始めることになった私。


 インターネットで『結婚式 準備』と検索すると、ゼク〇ィのホームページが出てくる。


「ああ、〇クシィかぁ。確かに結婚式といえばゼクシ〇だよね。」


 それを見ながら結婚式の流れを調べる。


「ふむふむ。現実世界の場合は挙式7~6カ月前くらいに式場を探すのね。異世界だともうちょっとギリギリでも良さそうだけど……。そもそもいつ式をやるのかはマルスと要相談だね。」


「あー、婚約指輪か。向こうにもそういう習慣あるのかな?あるとしても私は多分もらう側だけど……。でも向こうはこっちと慣習も違うだろうから、何か贈り物をする習慣があるかとかは確認しとかなきゃ。」


「結納ってなんだろう……。ふうん、新郎側から新婦側へお金を贈る習慣があるのか。これは受け取れないな。ゲーム内通貨は私の方がわんさか持ってるし、円はマルス達には払いようがないもんね。」


「顔合わせ食事会かぁ。親にもアカウント作ってログインしてもらうか、今回みたいにビデオ通話でやるかどうするかなー。同じ釜の飯を食う感覚はいいものだしアカウント作ってもらってもいいけど……。」


「衣装選びかぁ。折角だからプレイヤーの服飾職人さんに作っておらおうかなー。服飾スキル2000超えの知り合いさん結構いるもんね。」


「何人ぐらい招待するかとかも決めとかなきゃいけないのね……。ふむふむ。」


「そもそもこちら側の親類はどうする?親は呼ぶのと、プレイヤーとして仲のいい人とかパーティーメンバーは絶対呼ぶとして、親戚呼ぶ?親戚に『NPCと結婚しました』って言って理解してもらえるかなー。」


「ゲーム内で手続き書類とかあるのかな?」


「うーん、マルスと要相談だなぁ。」




 一通り調べたことをオンラインメモ帳にメモしてマルスのもとへ向こう。ゲーム内でインターネットにアクセスできるとこういう時にも便利だよね。




「ユイ、結婚式についていろいろ調べてくれたんだって?」


「うん。それで色々疑問に思ったから、マルスに相談しようと思って。まずは、結婚式はいつ頃やる?」


「うーん、6月頃がいいんじゃないかな。ジューンブライドって言って、6月に結婚するといいってよく聞くよ。」


「あ、こっちの世界にもジューンブライドってあるんだ。でも再来月で準備間に合うかな?」


「まぁちょっとギリギリだけど、大丈夫じゃないかな。」


「じゃあ、次に確認しておきたいんだけど、何か贈り物をする習慣と買ってある?」


「贈り物かぁ。農家とかだとお互いの家に特産品とかを交換し合うけど、俺は騎士だからな。こっちの風習としては、あんまりないかな。」


「そっか。じゃあ次ね、こっちだと顔合わせとしてお互いの親とかを交えて食事会とかするらしいんだよね。これはぜひやりたいなって思ったんだけど、出来そう?」


「それは、この前みたいにビデオツウワってやつで?」


「それでもいいし、頑張ってこっちの世界に来てもらうことも考えてる。」


「来てくれるならそっちの方がいいかな。」


「オッケー。人数分のVR器具買っておくよ。」


「うーん、来てもらうにもお金がかかるってことかな?だったらどっちでも……。」


「確かにお金はかかるけど、出せる範囲内だし、必要な出費だと思う。どのみち私の故郷で結婚式上げるより向こうでの出費ははるかに安く済むんだから、このくらいの出費は仕方ないかなって。」


「そっか。まぁうちのおかんも会いたがってたからな。ありがとな。」


「いえいえ。じゃあとりあえず私が調べてきた中では最後の問題かな、結婚式、何人くらい呼ぼうか。」


「そうだなぁ。正直騎士やってると顔広いし、同僚とかは200人くらいは呼んでるかなぁ。」


「うひゃぁ。そんなに。」


 ここで、マルスから衝撃の発言が飛び出す。


「まぁ、一応底辺とはいえ貴族だからね。そんなもんさ。」




 一瞬、思考が停止した。




周りの人に気を配りながら、節制した生活を送るマルスには、極めて庶民的な、普通の公務員、という印象を持っていた。


でも、そういえば、騎士というのは、特権階級だと聞いたことがある。




「き、貴族……でいらっしゃったんですね……。」


「ちょ、ユイ、急にかしこまらないで!爵位もない底辺貴族だから!ね!」


「う、うん。びっくりしただけ。失礼を承知で言うと、なんかマルスって庶民的な雰囲気があるからさ。」


「まぁ領地とかがあるわけでもないし、収入的にはジャンとかの方が稼いでるくらいだからな。」


「ジャンさんは平民であってる?」


「うん。身分の差は一応あるんだが、気づいたら打ち解けてた。言われないと身分の差なんて意識しないくらいにはな。」


「そっか。そういう関係、いいよね。萌える。」


「勝手に萌えるなよ、ユイ。」


「ごめんごめん。で、私は、身分とかどうなってるんだろう?」


「来訪者はそもそも今の所国民じゃないから、特に身分はないよ。税金だって払ってないでしょ?」


「確かに。」


「まぁ結婚するからにはこの国の国民になってもらうんだけどね。貴族名簿にもユイの名前が載るんだ。」


「なるほどね。私が貴族かぁ。変な感じ。」


「ユイは故郷では平民何だっけ?」


「そもそも今日本には『貴族』っていないんだよね。大昔はいたけど。今は国の首相でさえも平民だよ。」


「首相も……。ってことは王がいないってこと?」


「一応天皇って言うのが王に当たるかな?実権はなくてもっぱら儀式担当だけど。」


「なるほど……。分かったようなよく分からないような。」


「まぁ理解は難しいかなー。」


「まぁ、そうかもな……。」


悲しそうな悔しそうな表情が印象的だった。


「今度詳しく色々教えてくれないか?」


「私もあんまり詳しくないけど、まぁ出来る限り……。」


社会科苦手なんだよねー。まぁマルスのためだ、頑張ろう!




「結婚式の話に戻ると、私からは両親と、ゲーム内の友人を20人くらい呼ぶくらいかなぁ?向こうでも友人少ないし、一番の友人はケイタだからさ。」


「そっか。こっちの人が多くなりそうで、すまんな。」


「しょうがないよ。でも、そうすると騎士マルスの奥さんとして恥ずかしいところは見せられないね!」


「そう気負わなくても。あ、でもそこまで言うなら、出来ればダンスとか歩行作法とか習ってもらうと助かるかも……。」


「うん。やるよ、マルス。」


「すまんな、ユイ。」


「謝らなくていいの!私、やりたいよ!そういう修行。よりちゃんとしたマルスの奥さんになりたいから。」


「ユイ……。ありがとな。その恩に報いれるように頑張るよ。」


「どうも!でも無理しないでね、勝手にやってるだけだから。」


「ああ。ユイも無理すんなよ。」


「善処します!」


「ははは!」


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