10話 うっ、う、あぁ……。
俺たちはダブルウィップスというツタ植物型の魔物を狩りにいくことになった。
魔力の詰まった種が採取でき、丈夫な茎は建築材料にもなる。
食べれるところも多く、復興中の町の役に立つ素材だ。
ダブルウィップスは大きく成長した雌花とそうでもない雄花で行動する習性がある。俺たちは、雌花を狩るグループと雄花を狩るグループで別れることになった。
俺は雄花を狩る方で、俺とユイちゃんとリズさんがこっちのチームになった。
ユイちゃんはデスペナルティーとやらでレベルが下がっているので雌花の流れ弾を食らうと危険、リズさんもややレベル不足とのこと。俺は雄花の方のグループにも盾役が欲しいということでこっちになった。
ユイちゃんとの連携に慣れてると言う理由もある。
まずユイちゃんが牽制で氷魔法LV5スキルコールドブレスを放つ。反応した雄花が威嚇し返すけど、動きが鈍っている。
そこに投擲用ピックを放つリズさん。回避しきれずに傷ついている。牙を振り回してくるが、そこは俺がしっかり受け止める。
こうして、順調に戦っていたのだが...。ツタが突如伸びて、ユイちゃんに絡みつく。
「ひぁっ!」
「ユイちゃん!?」
絡みついた雄花のツタがユイちゃんを厨ぶらりにぶら下げるような形になる。
ユイちゃんが着ているローブはベルトから下はスカートみたいな構造になってるから、って俺は何を考えてるんだ!最低だ!
「ユイちゃんを離せ!」
ユイちゃんのローブの中を見てしまわないように目をそらしながら、雄花に切りかかる。
しかし、目をそらしながらの雑な攻撃になってしまったせいか、俺の剣はツタのぬめぬめとした突起に受け止められてしまう。
「うぐぁっ、剣を取られる……。」
一方、ユイちゃんに絡みついたツタは、足に纏わりついたのが腹から胸まで巻き付いてくる。
「うっ、う、あぁ……。」
「ユイちゃん!?」
やばい、このままじゃユイちゃんが大変なことに……。早く助けないと……!
そんな時、突然叫び声が。
「ごめん、ユイちゃん!」
「えっ!?」
そこには、グレネードをこっちに投げつけてくるリズさんの姿があった。
そして、大きな爆発が起き、俺とユイちゃんは吹っ飛ばされた。
俺は地面にたたきつけられる。近くに尖った岩があったけど、間一髪で躱した。転がって頭上を見ると、上空に打ちあげられたユイちゃん。
俺は慌てて受け止める。
ユイちゃんの柔らかい感触が、俺に伝わってくる。
「ユイちゃん、ケガはない?」
「大丈夫、マルスのおかげで。」
そういって、上目遣いで微笑むユイちゃんに癒される。
って、癒されてる場合じゃない! とにかく敵から距離をとって立て直そう!
リズさんのグレネードのおかげで、雄花の拘束からは解放された。後は、落ち着いて倒すだけだ。
俺は拘束されないように気を付けながら、相手の攻撃を受け止め続けた。ユイちゃんとリズさんの遠距離攻撃が続くこと数分、ついに雄花は倒れた。
「ユイちゃん、マルスさん、大丈夫?さっきは吹っ飛ばしちゃって本当にごめん!」
「ううん、あのまま拘束されてたら、私アイツに何されてたか分かんないもん。それより貴重なグレネード使わせちゃってごめんね。」
「ああ、リズさんは悪くない。むしろ助かったよ。悪かったのは、まんまと拘束されちまってユイちゃんを助けられなかった俺だ。」
「そ、それならよかったんだけど……。マルスさんとか派手に地面に打ち付けられてたし……。」
「なあに、ユイちゃんが無事だったならそれでいいさ。まあ、アイツに俺の剣がほとんど通用しなかったのは悔しいけどな。結局ダメージ与えるのはほとんどユイちゃんとリズさんに任せっきりだったしな。」
「マルス、しょうがないよ、今回の相手は剣相性悪いし。」
「うーん、でもマルスさん相当実力は高いと思うんですよね。動きの切れもよかったし。レベルもかなり高いみたいですし、これであそこまでダメージが通ってなかったのはもしかして武器の攻撃力が低いのかもしれませんね。」
「ああ、武器かぁ。確かにマルスの剣って普通の量産品だよね。」
「え、それもしかしてレアリティノーマルなんじゃ……。そりゃあ攻撃力低いわけですよ。せめてSSRくらいのもの使っていいですよ、その位の実力はありますって。」
「SSRっていう剣が強いのかな?俺の剣とどのくらい違うの?」
「えっと、マルスの剣の倍の攻撃力はあると思うし、付与効果も結構強いのがあるから……。」
「そうかぁ……。なんかよく分からないけど、すごい強いことは分かった。でも今の剣だって悪いものじゃないし、そんないい剣手に入れるつてないしなぁ。」
「うーん、私も剣は持ってないしなぁ。プレイヤーメイドの武器を買うにも今はお金ないし……。」
ピロン。
「あ、運営からのメールだ。あ、今日から0.5周年イベントかぁ。ん?戦国武器シリーズガチャチケット10枚配布……?戦国武器シリーズは基本物理武器だから私は使わないけど、もしかしてこれマルスにいいプレゼントができるんじゃ……。」
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