9話 眼福、眼福。

 俺はマルス。最近かわいいの彼女ができた幸せ者だ。


 一度は彼女を失ったかと思ったけど、また会うことができた。


 今日、俺は仕事が休みだ。そのかわいい彼女のユイちゃんと、そのパーティーメンバーたちと会う約束をしているんだ。


「マルス、こっちこっち!」


 ユイちゃんが呼んでる。先に待っていたのはユイちゃんと、パーティーメンバーの一人、ケイタ君だ。






「ごめんユイちゃん、待たせちゃった」


「いいのいいの。私も来たばっかりだし。それに、待ちたい人がいるって幸せだよっ!」


「ああ。それは俺も同じ思いだな。ユイが生きてて本当によかった……」


「ありがとう、マルス」


「そうだ、ユイ、今日俺らのパーティーの他にもう一人来るって言ったっけ?」


「えっと、一条さん呼ぶんだっけ」


「うん。この世界のプレイヤーネームは「リズ」だってさ」


「了解―」


「プレイヤーネームって、愛称みたいなものなのか?」


「うーん、そう言っちゃえばそうなのかなー?」


「こんにちはですのー!」


「お、愛奈、来たか」


「愛奈ちゃん、おはよう!この前は本当にありがとうね!」


「こちらこそいい経験だったのー!あ、そちらの騎士さんがマルスさんなのー?」


「はい、ユイさんとお付き合いさせていただいてる、騎士で冒険者のマルスです。よろしくお願いします」


「そんなにかしこまらなくていいですのー!」


「いやいや、愛奈さんはヘビーグラウンドドラゴン戦でも一番活躍されてたと聞きますよ!本当にありがとうございました」


「そんな、感謝されるととむず痒いですのー!」




 そんな中、ある人がやってきた。ちょっと目つきが鋭い感じだけど、すらっと背が高い美人のお姉さん、といった感じの雰囲気の人だ。




「こ、こんにちは。リズです。よろしくお願いします。あの、結野君は来てる?」




 ケイタ君が、ユイちゃんのことを指で差した。




「あ、いち……リズさん。よろしくね!」


「かわいい……。じゃなくて、女の子だったんですね……」


「えっと、じゃあ恋人っていうのは……」


「こちら、私の彼氏のマルス!騎士をやってるんだけど、かっこいいでしょ!」


「え、えっと。ユイさんとお付き合いさせていただいてるマルスです。よろしくお願いします」


「ど、どうも……」


 あれ、なんか、リズさんに睨まれてる気がするんだけど……。


「リ、リズさん?マルスを睨まないで……」


「ごめんごめん、ユイ……ちゃん!今日からよろしくね!」




 そう言って、ユイちゃんに抱きついた。


「ええっ?リズさん?も、もう……」




 ああ、なんか微笑ましいというか……。「いい」ものを見た気がする。




「マルスさん、にやにやしてません?」


「ケイタ君、これはなかなかいい光景だと思わないかい?」


「そんなこと言ってないで、助けてよー、マルス!」


「いやー、確かに眼福ですよ、マルスさん。ちょっとスクショ撮っとこうかな」


「ケイタまでそんなこと言ってー!じゃ、じゃあ愛奈ちゃん助けて!」


「愛奈もまぜるですのー!」


「うわぁあ!?」




 遅れてやってきたユウさんとPumaさんに仲介されるまで、この眼福な揉みあいは続いた。

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