第14話
「雛ちゃん」
僕の耳に少し低い声が響く。僕は、それが、鮎川さんだと瞬時に気づいた。自分のことを雛ちゃんと呼んだところは驚いたけど。
「どうしたの?」
僕は、女子っぽい返答をしてみる。やはり、違和感がある。
「私ね、どうやってもとに戻れるかわかったの」
鮎川さんは、その場でジャンプしていた。周りの人は、変な目で僕の体を見ている。鮎川さんは、小さい子どものように口をパクパクさせている。
「また、頭をぶつければ、もとに戻れると思うの」
鮎川さんは、簡単に言っているが、一体どうすれば頭をぶつけられるというのだろう。
「前みたいに河原で……」
僕は、そのとき思い悩んだ。果たして前のようになれば戻れるのだろうか。
「でも雨降っていないと戻れないかな」
鮎川さんは、きっと頭をぶつけることではなくて雨が降ったことで入れ替わったと思っている。さすがに、同じ条件でやるのは無理があるのでは……。
「とにかく、今週の土曜日試してみようよ」
鮎川さんは、僕の体でウインクをした。
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