第15話

学校に着くとまたいつものように女子が集まっている。

「ねえ、確か今日って部活登録の日だよね

みんな何部入いるの。」

いつもの子が話題を振ってる。

「私は、吹奏楽」

「私も」

「私も」

「私も」

三分の二は、吹奏楽らしい。

「雛は?」

いきなり僕に振られる。こういうのは慣れていない。それに、鮎川さんの部活を僕が決めてしまっていいのか?確かに茶道部と華道部に入ると言っていたけど、変わった可能性も。

「雛、まだ決まっていないの?」

僕は、その子の言葉に我にかえる。

「決まってるよ。茶道部と華道部かな」

僕は、慌て口調になった。そのせいか声が鮎川さん似の声ではなく僕の声になっていた。

「茶道部と華道部か……読モって忙しいもんね」

周りの女子は、何事もなかったかのようにのせてくる。それは、安心したが、この先が不安でしかなかった。


「雛ちゃん」

鮎川さんがまた、そう呼んできた。周りが少しざわついている。

「茶道部入るんだよね」

鮎川さんは、僕の声に大分似せてきた。だが、それと同時に僕のイメージを大分壊している。

「うん。そうだよ」

僕が答えた瞬間、鮎川さんは、去っていく。きっと、本当の僕の部活のことだろう。もともと入ろうか迷っていたけど。しょうがない。


「えー。最上くんと一緒なの?」

話を聞いていたのか周りの女子が、ドン引きしている。

「女性恐怖症だよ。雛辛くない?」

なんの話かと思えばそっちのほうの反応らしい。そういえば、この子達で気づいたが、確かに僕が同じ部活でも嫌ではないのだろうか。僕の病気を知っているのに。

「大丈夫、大丈夫」

僕は、適当に大丈夫といいその場を切り抜けた。


放課後、僕が部活の集合場所に行くと鮎川さんは、もう来ていた。鮎川さんは、アイコンタクトでここに座ってと合図してくる。

僕は、鮎川さんのとなりに座り、先生方が来るのを待った。

「最上くん、一緒に帰らない?」

鮎川さんは、耳打ちしてきた。僕は、少し悪寒がしたが、相手は、僕の体の鮎川さんだったからか少しで収まった。

「いいけど」

僕は、このときすぐに言葉が出てきた。


「最上くん、女子に囲まれているけど大丈夫になったの?」

部活登録が終わっての帰り、鮎川さんは、なるべく人通りが少ないところから帰りたいということでいつもとは違う通学路を歩いている。

「まだ、かな」

僕は、今までのことを思い出す。僕は、鮎川さんのように中心的存在に慣れない。それ以上にあのメンバーの人とまともに話したことがない。

「でも、前よりは話せるようになったんじゃないかな。だって今、私と話せているんだから」

鮎川さんは、僕の肩を少しつつく。僕は、前のように震え上がらなかった。

「ほら、平気でしょ」

鮎川さんは、歯を見せて笑う。僕は、そのときはじめて女子をかわいいと思った。



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