第4話 お父さん(1話完結)

物心ついてから僕はずっとお母さんと二人暮らしだった。お父さんの記憶はなかったからさびしいとかいう感情はなかった。むしろ友達らのお父さんに怒られたなどのエピソードを聞いて、家にはいないので良かったなど思っていたものだ。


 それが先日、この小学五年生の夏休みにいきなりお父さんが現れたのだ。正直戸惑った。お前なんか知らないと言ってやろうと思ったが、ビックリするぐらい僕と同じ顔をしているのでそんな言葉も呑み込んでしまった。


 そこから二週間ほど一緒に暮らしているのだが、今日は今抱えている疑問を思い切ってお父さんにぶつけることにした。


 夜ごはんを食べた後の団欒の時間。お父さんに恐る恐る尋ねた。

「お父さん。僕はハーフなの?」


 お父さんは驚いた顔をして言った。

「エ、ナンデワカッタノ」


 思いっきりカタコトやからや!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る