47話

「『流星の守り人』……って、隣町の傭兵組織支部ですか?」

「あぁ」

 首をかしげて問いかける少女に、剣の青年は一つ頷いた。すると立っていたグレイが、

「我々の目的は先程説明した通り、この爆発事故の調査と貴女方二人を無事に傭兵組織代表ギルドマスターのもとへ案内することですにゃ。ともに行くかどうかはお二人に任せるとはいえ、私としては来てもらえると嬉しいですにゃね」

 とすかさず口を挟んでくる。

「ここら辺は盗賊なんて出てこないはずだし、護衛はいらないと思うが。まさか……なにか他に危険なことでもあるとでも?」

 ディックがグレイの言葉に疑問を返した。その問いに対して、

「……秘密ですにゃ」

 グレイは言葉を濁す。その表情は、言っていいのか否か迷っているようだった。

 それを見たディックはそのあとなにも言葉を発することなく、しっかりと椅子に座り直す。聞きたいことは聞き終えたらしい。



「……彼が言った通り、盗賊は今のところここ一帯にいるという話を聞いていない。しかし万が一ということもあるから、面倒だとは思うが俺たちの傭兵組織ギルドまで来て頂きたい」

 再度、剣の青年が言葉を発した。そして、

「……頼む」

 何度目か分からないが、頭を下げた。





          * * * * *





 青年による丁寧な説明の間、レイラはほんの少し意識を飛ばした状態で聞いていた。聞いてはいたがそれとは違うことをずっと考えていたから。


 考えていたことは二つ。それは『後悔』と『憎悪』。

『後悔』は村を巻き添えにしたこと。故郷の人とはいえ彼らは完全に自分とは無関係だった。それなのに巻き込んだ上に。 

 きっと村の皆は夢にまで出てくるくらい自分を恨んでいる――――と、そうレイラは思っている。



 そして、二つ目の『憎悪』。

 それは村を消したあの男たちに対してである。関係なんてないはずなのに男たちに―――それを愉快に笑って見ていた男に。

 とても、とても大きな憎しみを感じた。








 ―――

 とはいえ残念ながらもうそいつらはこの世に存在しないが、その事実に気付かないほどレイラの持つ『憎悪』は大きかった。

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