45話

 エルフの青年の腕のなかで彼女は静かに泣いていた。身体がビクビクと震えていることから、なにかとても怖い悪夢でも見たのではと4人は推測する。

 しかし流れている涙はキラキラと輝いてまるで一粒一粒が宝石のようだった。その光景にグレイたち男は勿論のこと、エルたち女性陣でさえも目を奪われた。


 その少女は涙を拭くと、ようやっとエルフの青年の他に人がいることに気付いたようで。次の瞬間―――彼女は照れたのか顔を赤く染め、エルフの青年の抱擁のなかに隠れたのである。







 あまりの素早さぶりに、4人は勿論エルフの青年でさえも呆けた。そして。

「……ぶっ」

 おそらく抱き締めている誰かの吹き出し笑いを引き金に、

「「………っかわいいーーーーー!!」」

 女性二人が歓声を上げて、少女に抱きついた。エルフの青年を巻き込みそのまま雪崩れるようにベッドにダイブする。



「なにこの子すっっごく可愛い………っ!! 天使、いや女神なんじゃ!?」

 魔導士の少女が少女の頬に自身の頬を擦り寄せ、

「こんな素敵な子が生き残ってたなんて……役得です……っ!」

 エルが五つの尻尾をふりふりと忙しなく振りながら少女を抱き締める。

 少女は少女で状況がわからずあたふたと困惑し、巻き込まれたエルフの青年はベッドで女性三人に押し潰されながら、

「……なんで、こうなった…………?」

 困惑と同時に深~いため息をついた。


 そして男二人はというと―――全くもって予想通りの反応に、もはや呆れて声すらもでなかったらしい。グレイに至っては笑いのツボに嵌まり、落ち着くのに必死だったくらいだったのは言うまでもない。





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