45話
エルフの青年の腕のなかで彼女は静かに泣いていた。身体がビクビクと震えていることから、なにかとても怖い悪夢でも見たのではと4人は推測する。
しかし流れている涙はキラキラと輝いてまるで一粒一粒が宝石のようだった。その光景にグレイたち男は勿論のこと、エルたち女性陣でさえも目を奪われた。
その少女は涙を拭くと、ようやっとエルフの青年の他に人がいることに気付いたようで。次の瞬間―――彼女は照れたのか顔を赤く染め、エルフの青年の抱擁のなかに隠れたのである。
あまりの素早さぶりに、4人は勿論エルフの青年でさえも呆けた。そして。
「……ぶっ」
おそらく抱き締めている誰かの吹き出し笑いを引き金に、
「「………っかわいいーーーーー!!」」
女性二人が歓声を上げて、少女に抱きついた。エルフの青年を巻き込みそのまま雪崩れるようにベッドにダイブする。
「なにこの子すっっごく可愛い………っ!! 天使、いや女神なんじゃ!?」
魔導士の少女が少女の頬に自身の頬を擦り寄せ、
「こんな素敵な子が生き残ってたなんて……役得です……っ!」
エルが五つの尻尾をふりふりと忙しなく振りながら少女を抱き締める。
少女は少女で状況がわからずあたふたと困惑し、巻き込まれたエルフの青年はベッドで女性三人に押し潰されながら、
「……なんで、こうなった…………?」
困惑と同時に深~いため息をついた。
そして男二人はというと―――全くもって予想通りの反応に、もはや呆れて声すらもでなかったらしい。グレイに至っては笑いのツボに嵌まり、落ち着くのに必死だったくらいだったのは言うまでもない。
* * * * *
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます