40話
「っエルさん!」
悲鳴に気付いたグレイが瞬時に彼女の前に出るとスカイの懐に潜った。そして腰に差した忍刀をその首もとに目掛けて抜刀、瞬時に一閃する。
白翼猫、もといスカイは驚くもバサリと羽で風を起こして力業で刀の軌道を変える。同時に一度空へと飛び上がり、家の玄関の方まで後退した。
そしてグレイやエルを含む四人に向かって睨み付け、大きく唸り声を上げたのだ。
「っこの一撃を止めるとは………さすが幻獣族、というべきなのかにゃ」
グレイは冷や汗を拭ったあと刀をもう一度構えなおす。そして、エルを守りながら相手の動きを見る体制に入った。
「なんでここに
青年が背中の剣を抜き放ちながら同じように前に出る。ただ、彼の場合は警戒というより戸惑いのほうが大きいらしく、前線には出ているがそこから動く様子はない。
「それもあれは希少種の
不安そうに後ろでエルが呟いた。彼女もまた自身の錫杖をギュッと握りしめながら戦闘体制に入る。そこでようやっと魔導士の少女が今の現状に気付いた。解析の呪文を解き、エルのところに走って近づくと彼女は問いかける。
「どうしたの? 一体何が―――」
「それがですね……」
おろおろとしなからもエルが言いにくそうに説明を始めた。
その間にもまだ一人と一匹のにらみ合いはじりじりと続いていて。今にも戦闘が始まろうという雰囲気であった。
数秒後、猫の青年とスカイがほぼ同時に攻撃体勢に入り、一歩前へと踏み込む。一人と一匹の考えていることは一つ、それはいかに目の前の敵を排除するか。それだけであった。
あわや火花が散ろうかとしていた、その時だった。
「……やめろスカイ。警戒するのはありがたいが、彼奴等は敵じゃない。戻ってくるんだ」
その場にもうひとつの声が聞こえて来たのは。
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