第7話 アル人。

 頑張れ、頑張れと自分に言い聞かせて奮い立たせ、気を張り詰めている時、大抵アル人が気づいてくれた。心強かった。気づいてくれるだけで嬉しかった。だからついつい話してしまった。聞いてもらって、甘えてしまった。

 話してしまったら、先輩にも迷惑かかるしその人にも迷惑がかかる。話した瞬間いつも後悔してた。罪悪感に襲われた。同じ職場にいる人には言わないようにしていたのに、言ってしまった。情けない。自分の嫌な部分を見せないよう、その気持ちを貫こうとしたのにできなかった。残念。自分への理想は案外高いようで、それを実行できないようだ。アル人にも指摘された。『自分を認めてあげなさい』と。理想と現実の違いはわかっている。だからこそ、自分を認めてあげないといけない、と。

 流石と言うべきか、年の功なのか、話しを聞いてもらうといつも一刀両断され気分がよかった。入社した時期も近かったし、時間帯も同じ日が多かったためよく話を聞いてくれた。本当に良い人だ。

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今のジブン。 食パン。 @papapa0125

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