第6話 先輩とセンパイ。と、
よく『先輩に対してどう思う?』と、上司や他の先輩に聞かれた。それをよく聞いてくれた上司に私は何度も「あなたはどう思うんですか?」と聞きたくなった。聞かれる時間、私の心の中の意識はセンパイではなく上司だった。
先輩とよく一緒に働いている上司がいるのだが、その上司も一癖ある。その上司に言われたひとことで私は上司と気まずくなった。嫌だった。でも私だけの感情だから、上司は気まずくないと思っているはずだ。それでいい。上司に言われたひとことも他人からした大したことのない言葉だ。それで傷つくだなんて大袈裟だと思う人もいると思う。それに上司にはとてもお世話になっている。本当に有り難いことに、私の仕事環境のことも気遣ってくれる優しい方だ。
だが言葉とは不思議なもので、たった何気ないひとことでこんなに気まずくなるとは。先輩と上司の3人だけで仕事する日は心の中は大荒れだった。台風のように、洪水のように、泣き通しだった。平和に終わってくれ。あと少し頑張れ、頑張れと呟きながら溜息が自然とでていた。気を抜いちゃいけない。もう少しだ、気張れ。
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