欲が為に、意味を持つ―0―
ある事が原因でミノス王から見放された細工の名人ダイダロスは、息子のイカロスと共に、ある巨大な塔に閉じ込められてしまった。
ダイダロスはその塔を抜け出すために、鳥の羽を集めて、大きな翼を造った。大きい羽は糸でとめ、小さい羽は蝋でとめた。
完成した翼を背中に付け、父ダイダロスは、息子のイカロスに言う。
「イカロスよ、空の中くらいの高さを飛ぶのだよ。あまり低く飛ぶと霧が翼の邪魔をするし、あまり高く飛ぶと、太陽の熱で溶けてしまうから。」
二人は飛んだ。
農作業中の人々や羊飼いたちが彼らの姿を見て、神々が空を飛んでいるのだと叫んだ。
調子に乗ってしまったイカロスは、父の忠告を忘れ、高く高く飛んでいく。
太陽に近付くと、羽をとめた蝋が溶けだした。そうしてイカロスは翼を失い、大海原に没して還らぬ身となった。
以後、その海はイカリア海と名付けられた─────ギリシャ神話『イカロス』より
「………思ってたのより百倍ダセェんだけど」
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