第29話
悩みやいざこざの種は
だいたいは人間関係だ。
中の世界にいた頃とは比べ物にならないくらい、というか信じられないくらい外の世界には人がいた。
私と関わりのないと思われる人も、きっとどこかで関わっている。
スーパーのお弁当も、売ってる人だけじゃなくて、それを作る人。
お米農家の人、それを運ぶ人。その道路を作る人、その人を育てた人、生んだ人。
たくさんの人が繋がって繋がって、今の私がある。
命は自分のものだけどその命は
たくさんのものや人に守られて、私は生かされている。
それは決して私だけじゃない。
私だけが、他人に世話をかけて助けてもらわないと生きていけなかったわけじゃないんだ。
現に、動けるようになったところで
1人でなんでも出来るわけではなかった。
協力したり、教えたり教わったりしながら、出来るようになるのだ。
その人たちはみんながみんな親切丁寧で優しいわけではなかった。
嫌な奴だとか、合わないと感じることは仕方ない。いいところは尊重し、
嫌なところは受け流しなさいと母も言っていた。
そんな中でも、出逢えてよかったと思える人がたくさんいる。
人に恵まれてると思える私は、とてつもない果報者なんだと思う。
私が外の世界に出てからというもの、多くの人が私の前に現れた。
地球がひっくり返って中身が全部宇宙に散らばってしまう程に大きく変わったのだ。
中にいた時とは態度が全く変わる人もいた。
本当に良かったと心から喜んで涙まで流してくれた人もたくさんいた。
今後の私の人生をサポートしていきたいと志願してくれる人もいた。
普通のことが出来る喜びを噛み締めながら、私はこれからどうしたらいいのか、どうしたいのかを考えた。
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