第5話 かつての忌まわしい事件と事故

 チームに所属して早1か月。

 様々なチームと対戦し、勝利・敗北を噛みしめ、自身の成長ぶりを実感しながら時間は過ぎていった。


 敵だった人は現実世界でもアルバイトの店員、ガソリンスタンドの店員、学校の教師、学校の生徒、警察官、保育士と様々な職に就いており、敵対している人物とは思えないほど心優しい人物だった。

 ときにちょっとしたいざこざやクレーマーの対策に協力、宣伝といったものに賛同したりとしたこともあった。


 彼らは〈ARM〉という世界と現実という世界の二つの世界を共に生きている。ぼくも同じように、彼らと一緒に敵対心を持って、現実にも影響を及ぼすことはなかった。


 ある事件が起きるまでは。


 〈リーバー・ジャック事件〉。

 あの惨劇が再び表舞台に現れたのは数日前のショッピングセンターにいたとき、偶然にも目撃してしまったことだった。




 彼らの存在が大きく表舞台に姿を現したのは〈ARM〉が誕生する4年前、VRゲームが稼働するオンラインゲームで彼らが起こした歴史上の犯罪。国自体が動かざるえない状況まで持ち込んだ歴史的犯罪者〈クロノス・ロジック〉。


 数人という規模でネットでしか繋がりを持てず人との干渉を捨て、〈クロノス・ロジック〉の仲間であっても正体を見せることはなかったという。

 正体を知らず、集められたメンバーたちは仮称現実世界で、人々の記憶・人格・体格を自由自在に改悪させ、現実にも影響を与えた。


 記憶そのものを他人の記憶に移し替え、複数の記憶という多重人格を見に受け、耐えかね無くなったものは自殺または殺人に至り、自分という存在を求めるロボット化してしまう現象が起きた。


 人格も本来の優しかった性格が一変し狂ったような殺意を抱く者、人格破綻者(サイコパス)など生み、世界に隠れていた小さな歯車がひっぺ替えしたかのように彼らは表の顔を捨て、狂人化とした。


 体格は動物または昆虫と遺伝子が組み替えられた、病院のベットから動けないもの、元の人間の体になれないものへと姿を変えられた。


 ネットにつながる脳への伝達する電脳信号を遺伝子組み換えるウィルスへと変換させ、生まれながらの奇形児のように変えてしまう現象を生み出したのだ。


 世界中が動き、ネットワークを中断させざるえなくなり、解決策を探すにも彼らの独自のネットワークでは世界中でも探す出すことができなかった。


 あるとき、メンバーのひとりが世界中のハッカーを敵に回したことによってそのメンバーだけがつるし上げられることとなった。

 報復として晒上げられたそのメンバーは〈デルタ〉と呼ばれ、国籍が存在しない孤児であったことが後に判明した。


 〈デルタ〉は生まれながら捨て子で、旅芸人に連れられ世界か国で旅をしていた経緯から言葉を理解し、それぞれの国の言葉を扱えた。

 ある国でネットに興味を抱き、友がウィルスに仕込まれ破壊されたデータを復旧と報復を理由にネットに対する興味が高まった。


 ハッカーと呼べるほどの力を身に着け、ウィルスを駆除し相手を報復する機能を生み出したとして世界に当たる名高い組織に拾われた。

 その後、どうなったのか不明だったが、組織から離れ〈クロノス・ロジック〉に介入したようだ。


 〈デルタ〉の作業は、仲間との対話と指示を与えること、存在するウィルスを倍にして相手に与えるプログラムの作成、アバター(仮想現実におけるプレイヤーの第二の分身)に対しての影響の変化を調査を受け持っていた。


 〈デルタ〉の逮捕後、〈クロノス・ロジック〉の行方が分からなくなり、交信不通となり存在自体は表から消えたのだが、〈デルタ〉はただ「仕事をしていた。迷惑なことなど考えてもいない。攻撃したんだから倍にして返しただけ」とコメントを残している。


 〈デルタ〉が捕まった経緯は不明だが、おそらく〈クロノス・ロジック〉としての大きく動いている存在を消すために、仲間の誰かが〈デルタ〉を売ったのだろうと予想されている。


 彼はいまもネットにつながれ、身体は地下施設に幽閉され、アバターとしての存在は厳重な施設で隔離されているという。


 その事件から、〈クロノス・ロジック〉が起こしたという事件はない。あれからなにも起きていないのだ。

 被害にあった者たちは、適切な治療もなく、生存しているという。


 その事件の被害者であり、わずかな影響だけ受けたものがこの大陸に渡っている。その影響を受けたものが知られないためとして送っているのだ。

 この事実を知るのは大陸の管理者とわずかに限られた世界機関の数人だけ。


 その能力を得たものは〈超能力〉と呼ばれ、〈ARP〉世界にやってきているのだ。


 〈リーバー・ジャック〉。

 その名称は〈クロノス・ロジック〉のメンバーに含まれるひとりだと〈デルタ〉が証言している。仲間の位置と座標、国、仮名のみ知っていた。

 位置は指示を送るときだけ指定された場所で対話するだけだった。情報機関では彼らの居場所を探すことは困難だった。


 〈リーバー・ジャック〉彼の素性は〈デルタ〉からの情報であることだけ判明している。〈リーバー・ジャック〉はひどく女性を嫌っている。男性を恋している。けど、異性に関しては毛嫌いしている。

 名前の由来は、〈ジャック・リーパー〉から入れ替えて使用している。青春時代に彼にあこがれを抱いていたのだという。


 異性や遺伝子の組み換えは彼が起こしていたと思われている。逮捕に至ってはいない。彼が今回の事件に関与しているのであれば、積極的に解決しなければ第二の被害者が萬栄してしまう。


――〈ARM〉のアップデート後、アシタカの友人が何者かに襲われたと仲間たちへ通達が入った。


 路地裏で対戦相手とバトル中に背後に突如と現れた黒フードの男によって顔面をつかまれたと同時に電流を浴びせられ、倒れたのを目撃した当事者の生き残り。黒いフードの男は逃げ惑う彼らをまるでハイエナのようにすばやい速度で追い、行動を妨害するアイテムを使用してもまるで蜘蛛が自分の巣のように抜けていく。


 遠くで援護していた人が語った。


 ――皆殺し――だと。

 バトルしていたメンバーは4対3。そのうち3:3が病院送りとなり、いまだに意識不明の状況にあるという。


 この男の行いは明らかに“違法者(チートプレイヤー)”であるとアカシアは説明した。


 正規のやり方ではない悪道意やり方で他者を迷惑かけ、なおかつ自分が楽しめるようにゲームシステムを崩してしまう行為のことを呼ぶ。

 彼らはこの〈ARM〉でも少なからずおり、そのプレイヤーを見かけ次第通報し、遮断(ブロック)する。


 同じ〈ARM〉の世界で二度と遭遇することも戦うこともなくなるからだ。だが、今回は違う。相手の素性が不明のまま大戦中のさなかに現れ、次から次へと行為を走った。


 通信遮断(ブロック)したとしても、そいつには効かなかったという。


「緊急事態だ! アカネプロへ向かうぞ!」


 緊迫した空気に包まれ、アシタカはラスタとノエルを連れて、ある場所へ向かう。


「どこにいくのですか?」


 ラスタはこう答えた。


「俺達を仕切るギルドでこの区域の管理を任されている総司令官のようなところだ。〈ARM〉の世界でしか入れない特殊なルール上の世界だ」


 1か月たっても知らないことだらけだ。

 AS〈アクティブスキル〉、アイテムツール、ARMとアシタカたちと知り合って得た情報。それ以上にもギルドという存在がアシタカたちを率いる小規模な存在だと思っていたのだが、意外にも上位で大株主がいるとは想像もしなかったことに驚きだ。


 そもそもギルドの傘下であること事態が知らなかった。

 上と接点があったこともなく、対戦者と現実で知り合いになるだけで傘下の上とは繋がりを持ったこともなかった。


 それが、違法者(チート)によってはじめて明かされた。


「ついたぞ、ここだ」


 倉庫のような建物がいくつも立ち並んでいる。

 背景には海がある。ここは港だ。

 船に摘まれた荷物やタンカなどを保管するための倉庫として使っているこの場所で、〈ARM〉という世界と大して変わらないデザインだった。


「アカシア、到着しました」


「待っていたぞ」


 薄暗い倉庫のなか。多くの木箱や袋に詰められた荷物が立ち並ぶなか、ひとりの少女が歓迎してくれた。

 もっぱら歓迎という言葉よりもひねくった発言だった。


 電気の灯りがぱっとついた。

 急に明るくなったために視界がぼんやりとする。

 目が痛い。渇いたガラス玉が水を求め、何度も閉じてしまう。閉じられた空洞から水を求めて渇きをうるおそうとする。


「君が新人のノエル君か」


 ようやく目がはっきりと開けれるようになる。

 声をかけたのは赤髪のツインテールの少女だった。偉そうに荷物と一人の男を椅子代わりにして座っている。


 男は嬉しそうに微笑ましそうにしていた。

 ノエルは少女の問いに頷く。少女は想像していた言葉が出なかったことに少し悔しそうにしていた。その表情を見たイスだった男は声を荒げた。


「フォルス様の清き言葉の前に返事もせず、ただ頷くとは何事だ!!」


「よいよい。私はノエルくんと話しているのだ。豚の言葉を許した覚えはないぞ」


「すっすみません!!」


 男は少女に謝り、黙った。

 顔は納得していない様子でノエルを睨みつけていた。


「さて、私と会うのは初めてだな」


「はい、現実世界でもあうことはありませんでしたので」


 アシタカはそういうと、ラスタはおでこを指で掻きながら欠伸していた。勘に触ったのか豚と呼ばれた男が鋭くにらみつける。少女の前にしてはしたないと。けど、ラスタは気にせず、いつものダルそうなそぶりを見せ、何事もないようにいつもの態勢になる。


「ふむ。事情は聴いておるな。私の傘下のうち2つのギルドが潰された」


 !?


「みな、病院送りだ。意識は戻らず。かつての事件と似ていると医者たちが騒いでいた」


「かつての事件?」


 ノエルが疑問を上げた。

 記憶にない。その疑問をラスタが答える。


「〈クロノス・ロジック事件〉覚えているか?」


「それは知っている……まさか!?」


 少女は頷き、その事件と同じことが起きていると告げた。

 でもその事件はメンバーの逃亡とともに一人の犯行が吊るしあげられたことによって活動は休止となっていたはず。


 それが今になって起こり、なぜ〈ARM〉をプレイする人たちに襲うのか謎だ。


「――今のところ奇形という報告はないが、これは私たちのギルドだけの問題じゃない。一刻も早く、そいつを捕まえ、みんなを開放しなくてはならない。そのために、お前たちの協力が必要だ」


 パッと電気がついていく。

 今まで暗闇だった個所に少なからず知っている者と知らない者たちが姿を現した。みな、この少女に屈するかのように山となる荷物の下で見守っている。


「俺ははじめからそのつもりで来た」

「私も同意見です。私の仲間のひとりがやられました。コンビニへ買い出し中に襲われたと知らせが来ました。仲間が見守っていますがまだ、回復していません」

「ぼくを除いたメンバーみんなやられてしまった。一人だけど、手伝えるのなら協力するよ」

「俺のところは今のところやられていないが、妹がやられそうになったって泣いていたのを見ていると、俺も協力する。妹を奪われたくないから」


 次から次へと挙手が入る。みんなヤル気だ。

 もともとヤル気の元で集まったメンツだ。“違法者(チート)”によって奪われた犠牲者なのだ。ひとつに纏まれば心強いはず。


 だけど、不安な気持ちがそばにいてなんだか落ち着かないのだ。ノエルはアシタカに見るようにチラッと一瞬だけ目を向け、数分ほど少女の方へと目線を向ける。ラスタの腕を引っ張るかのように力弱く握っている。


 少女の眼が怖いのだ。

 ノエルは少女が睨みつけているわけではない。だけど冷たく冷酷な目つきがどうも気に食わないのだ。あの眼つきに睨まれるだけで全身の力が抜けるかのような感覚に陥るのだ。


「さて、“違法者(チート)”を捕まえる前に、みなに聞きたいことがある」


 少女は指を上に掲げ、こう発言した。


「AK(アクティブキル)を使用できるものは挙手を」


 AK…聞きなれない言葉が出てきた。

 AS(アクティブスキル)なら知っているが、AKとはいったい何のことだろうか。


 ノエル以外のメンバーが挙手する。

 つまりノエル以外はみんな持っているということなのだ。


「持っていないのはノエル君だけだな。わかった。アシタカ、ノエルくんにAKの習得と今後の日程について、報告・試験するように頼んでいいか」


 アシタカは少女に近づき、少女からの報告を念入りにメモをしながら聞く。少女はアシタカに伝え、それをノエルが切り札として使えるのではという方法で考えていた。


 アシタカは少し不安そうだったが、ノエルを一瞬だけ見て、すぐに「努力します」と告げ、少女から去る。


 アシタカがラスタとノエルがいる場所まで戻ると少女は大きな声で指令を出した。


「今後、メールにて伝える。以上、今日は解散だ」


 〈ARM〉のログアウト画面が浮き出る。

 ログアウトと口にすることで、自動的に現実世界へ切り替えることができる。


 ノエルが「ログアウト」と口にすると、そこは倉庫ではなく病院のとある一室にいた。そこにはアシタカもラスタもおらず、代わりに黒髪の少女がベットの上で本を読む光景があるだけだった。


 白い病室。窓の外は海。海から伝わる潮風が病室の空気を洗っていく。カモメの泣く声が病室まで聞こえてくる。

 穏やかな晴れ模様の太陽としずかに揺れるこの海の陸地で人々が次から次へと病院に運ばれているとは思えないのどかな風景が広がっていた。


「すみません。アシタカさんに〈影移動〉で来てもらいました。いらっしゃい私がフォルスと呼ばれる者です」


 フォルスと名乗る少女。

 あの陰険な冷酷そうな目つきを見せていた少女とは思えない穏やかで優しそうな少女と同一人物とは思えない。


「あら、意外な顔をしていますね。よく思われるの。まあ、慣れていますから」


 フォルスは自分に対して何を思われ、言われるのか何度も見てきたという顔をしていた。フォルスの表情に思わずなにを答えたらいいのか戸惑ってしまう。ノエルはこの島にきて、シウォン以外にこういう少女と会ったのは初めてだった。


 シウォンはなにかと尋ねてくることもラスタのようによくしゃべってくることもなかったが、フォルスは意外とおしゃべりのようだ。


「――私は、この病室から4年前から一度も出たことがありません。私が唯一の楽しみは〈ARM〉です。この世界は狭く箱庭のような空間で、外という姿が変わる映像しかありません。ですが、〈ARM〉は現実とはかけ離れた世界を映し出してくれます」


 フォルスはデバイスをなでながら感謝していた。


「〈ARM〉は私のように動けないものにも自由を与えてくれる。身体は動かなくても、疑似体験として体に伝えてくれる。技術は〈VR〉を応用していることもあって、第二の身体――つまりロボットに意識を伝え、操作することで動き回ることができる」


 フォルスはそう言って、ベットのそばに隠れたロボットを見せた。

 マネキンのような顔なしのロボットが体躯座りのカタチで身を固め停止していた。


「先ほどの施設で、私はロボットに意識を写して話していました。ロボットはあの施設に置いたままです。私があなたに重要なことを訪ねてから、私はロボット回収に〈ARM〉へダイブします。あなたは、この病室を出る前に〈ARM〉を起動して出て行ってください」


 フォルスはノクトに顔を近づくように指で合図を送る。ノクトはフォルスに促されるまま近づく。頬に軽く小さな判子のようなものが押された。

 かすかにふく小さな風が頬を吹き抜けていく。


 キスだ。フォルスはゆっくりと顔を離す。頬は赤くなり、照れている様子だ。


「さて、私のしたいことは終わりました。私はあなたが無事であることを祈ります。私はあなたの―――」


 コンコンと扉がノックする。

 モニターに看護婦が映し出される。扉をノックしたのは彼女のようだ。


「ごめん。今日はもうこれでおしまいね。〈ARM〉で起動後、私のスキルであなたを元の場所へ一瞬に戻すわ。ここで起こったことは内緒ね」


 デバイスから〈ARM〉を選択し、ログインと声を出す。

 するとフォルスのスキルによって再びあの倉庫へ飛ばされ、フォルスが豚と呼ばれる男が足代わりに連れていく様を見送った後、アシタカがさっそくノエルに指令を出した。

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