第8話
「この物置に見てほしいものがある。」
そう言われてオレは入ろうとする。明らかに空気が違う。「腐臭か・・?」
「ゾンビの鼻でも臭いよな」
「なんのにおいだ?」
「ツレだ。」
「ツレって・・・彼女か!?なんかすまん」
「いやいーんだ。俺たち二人はこのショッピングモールに買い物デートにきてこんなことに巻き込まれた。そして二人ともゾンビになった。彼女は肉を食べることを拒否したんだ。俺もな」
「それで腐ってるのか?でもお前は・・」
「ああ、腐っていく彼女と自分の身体を見ていたら怖くなっちまってよお。俺だけ食ったんだ。食べれば食べるほど少しずつ肉体が生まれ変わって行った。」
「それでお前はあまり腐っていないのか」
「彼女はそれでも食おうとはしてくれなかった。こんなになっても生きてるがな」
外見では性別どころか人間かもわからないほどに腐りきった物の方を見て言う。
「食わなきゃそうなっちまうのか」
「うん。怖えだろ。お前も肉を食うよな?」
「わりいけどこうはなりたくねえ」
「だよな」
ヒロシは苦笑いしながらそう答えた。
オレは腐りきってもなお肉を食べようとはしないヒロシのツレに呆れにも似た感情を抱くのだった。ゾンビになっちまった以上、食うしかねえよな。死にたくねえ。
ゾンビライフ 水蛭子 @hirukoawashima
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゾンビライフの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます