第3話

マックスパワーという名前は正直言ってダサい。

でもこのチャンスを逃すわけには行かない。

「それじゃあ、買います!」

口が勝手に動いていた。

「慌てなくてもマックスパワーは逃げませんよ。ですがこちらは特別なものなのでお高いですが大丈夫ですか?」

「大丈夫です!」

今にして思えばぼくの脳みそは一発でマックスパワーに溶かされていたのだろう。どうしようもなく欲しかった。

「1箱20本で2000円です。」

安いと思った。正常な判断では無い。

「買います!今2万円あるので10箱!」

「普通のタバコの4〜5倍の値段に躊躇なしとは余程お好きと見える。ではこちらを差し上げましょう」

不気味な笑顔でそれを差し出す。

お金を払いぼくはマックスパワーを受け取った。

そしてタバコ売りはぼくに名刺を渡し言った。

「こちらの電話におかけいただければ、いつでもお届けにあがりますよ。田中さん」

名乗った覚えは無かったが不思議と名前を知られていることに疑問は感じなかった。

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