ねこと一緒なら、だいじょうぶ。

だいたいのことは(ねこ)がいたら大丈夫といえる。


世界中の多くの人たちが家にいる状態が続いている。

アメリカも州によるけれどオハイオ州は早くから外出禁止令が始まった。

家から一歩も外に出ない日が50日を超えた。


何をしているかというと大掃除それから家のリペアをしている人が多い。


アメリカの大掃除は年末ではなくて春に行われる。スプリングクリーニングは理にかなっていると言える。暖かくなり窓を開けて家の中や外を大掃除。


夫も書斎を片付けることにした。この部屋は家族にとってアンタッチャブル。

汚いというとあんまりだが、本当にひどい。


大きいデスクは書類で山があちこちで来ていて、雪崩が起きそう。

リビングの続き部屋になっていて、ガラスの両開きの扉がある。


ここを外出禁止の間に片付けようと夫は決めた。


デスクの前に立ち、さてと書類の山を一つ取り、下に置いた瞬間



チャチャがその空き地に飛び乗った。


「チャチャ! だ~めよ!や~めて!」


もちろんやめない優秀なお手伝いさん。


隣のレシートの山をバシバシ!とはらう。


はらはらと舞い散る白いレシート。


ああ、桜のようだねおとうたん。


No!! あ、英語だ。本気になった。

夫は「だ~めよ」と言うときは「しょうがないなあ、もう(かわいい♡)」というニュアンスだが No!と大きい声で言うときは「お願いします、やめてえ」という意味なのだ。


怒られたって意に介さない大物チャチャさん。書類の山を練り歩き、レシートを落としまくり、紙を留めてある輪ゴムを噛んでビーンビーンと遊んでいる。


夫に抱っこされて、ついに退場。

「にゃ~!!」と抗議の声をあげている。


そのすきに今度は入れ替わりにコタローさんがトトトと入っていく。


コタローは机に飛び乗りはしないけど、足元に座り夫を見上げて「る?」なんつってる。あちこち匂いガラスに映る自分の姿をジッと見てカリカリとかき出す。


これはチャチャはしないけれどコタローは鏡や冷蔵庫にもする。カッカ、カッカ、と永遠にやっている。


「こたちゃん!や~めて~」じっと夫の顔を見るコタロウ。コタちゃんは人の嫌がることは割とすぐにやめる。そしてドアストッパーのらせん状になっているところで遊びだした。


ビヨ~~ン ビヨ~~ン ビヨ~~ン


「あああ~!!」気になって全然作業できないおとうたん。抱っこされてまた退場。


その間にチャチャが走って行って、また机に飛び乗った。



そう、ねこと一緒ならどんなことだって楽しくなっちゃうのだ。つまらない大掃除だってこの通りだ。書類の山の間でチャチャはすうすうと寝てしまった。


夫は「もう~」と言いつつ、かわいくてたまらないという表情をしている。


遊ぶ姿も、寝ている姿も、見ているだけで癒される。


規則正しく上下する暖かい背中にそっと顔を寄せると、寝ていてもその気配でゴロゴロと言ってくれる。かわいくて、好きすぎて、泣けてくる。


きつい隔離生活もねこと一緒なら楽しい。


思えば猫たちは外出禁止が10年だ。今は猫を外に出すのは推奨されていないので完全室内飼いなのだ。


時々ジッと外を見ている猫たち。外に行ってみたいと思っているかもしれない。思いっきり走り回りたいかも。そう思うと家で遊ぶくらい良いじゃないと思う。


夫よ、机の片づけは寝ている間にそっとやっておいてください。


















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