猫に鞭で打たれた日




チャチャが「にゃんにゃん」と何かをずっと訴えていた。


たぶんいつもの「ごはんちょうだい?食べてないのよ?」という嘘だ。


最初は、ちょこんとそばに座って、顔を見上げて「にゃ~ん」と鳴く。


思いっきりかわいい声の「にゃ~ん」


「ぐ!か、かわいい!でも10分前に食べたよ?嘘ついちゃダメなの」


小首をかしげて「にゃ~ん」ううん、食べてないの。丸一日食べてないかもしれないの。という表情をする。


「ぐぐう、かわいすぎる。でも食べ過ぎなんだから~だめ」


そこで、最近の必殺技を出す。腕を伸ばして私の腕を(とんとん)と軽くたたくのだ。これはずるい。小首をかしげながらとんとん「にゃん?」ちょんちょん


とんとん「にゃ~~ん」

ちょんちょん「にゃ~~ん?」


「いやあああ~~卑怯!これは卑怯!!」


5回目くらいでついに根負けしてちょっとあげちゃう、だめだめ飼い主。


しかしこの日は本当に食べ過ぎていたので、私もがんばった。


チャチャは可愛い作戦をやめた。それまでしていた(もう3日も食べてないの)の演技をやめた。


次の作戦はロックオンだ。「おい、貴様くれない気か?どうなるかわかってんのか?」とがんを飛ばす。何十分もロックオン。今度は怖い顔をする。


それでもこの日はあげなかった。大好きだから、かわいいから、長生きしてほしい。8キロ以上になって良いわけない。


そうすると今度はくるっと後ろを向いた。


「あはは、ついに諦めて後ろ向いたよ~」と隣にいた夫に言うと


「いや、違う…よく見て…」


チャチャはしっぽでと私を殴っていた。


機嫌が悪いとしっぽを上下に大きく振るので、それかなと思ったのだが、確実に狙って打ってる。


右によけると、そちらにパチン。

左によけると、そちらにパチン。


夫はお腹を抱えて大笑い。


ついに嫌われて鞭打たれたおかーさん。


そんなことする? 私もつられて大笑い。本当に猫って面白い。


毎日面白いことを考えてるんじゃないの?と思うくらい、バラエティーが豊富なのだ。


ごはん?はい、少しだけあげました。今日も負けちゃった。










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