私だけの閉塞


ここなら誰もいない。

だから、大丈夫。


声を殺せば、泣いてもいい。

息を詰めれば、叫べるよ。

だから、大丈夫。

ここには、自分しかいない。


泣くようなことなんて、何もない。

不安定な心がうずくだけ。

傷がなくても、痛いのよ。

何がなくても、そこにある。


誰にもわらなくていい。

私だけのもの。


あなたにもあげない。

わかるなんて言わせない。

これは私だけのもの。

私だけの自我、私だけの閉塞感、私だけの痛み。


誰にも渡さない。

ここは私だけの密室。


締め上げた首は、指が震えてきちんと絞まらない。

視界の端が赤く滲んでいく。

ごうごうと耳の奥で鳴っていた鼓動は、

どんどんと首から上を膨張させていった。

知ってる。こんなことで何にもならないのは。


だけど、ここだけは私の自由。

だから、誰にも奪わせないよ。


首を絞めたって、涙は止まらない。

そんなことも、知っている。知っているよ。


誰にも分らなくていい。

私だけのものだから。

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