鉛
浮かんでは消え、思い付いては忘れ、思い出しては痛む。
きっと私にも、意味があるはず。
図々しく生きているだけではないと信じて、今日も生きた。
踏み出せば痛む。
振りかぶれば傷付けて。
いつまで繰り返せば終わる?
ままならない感情を持て余して、叫べぬ悲鳴を押さえつけて。
いつまで繰り返せば、終わる?
きっと、きっと。
生まれたことにも意味があるとして、
この命に価値などあるのか。
ずっと自問して、答えは出ないまま。
くすぶり続けた腹の底。
沈殿した消し炭は鉛のように。
明日、世界が終わるとして。
この命で救えると言われたら。
喜んで差し出そう。
頭のてっぺんから、爪先に至るまで。
この感情すらも、一つの塵も残さず。
この命の一滴もこぼさずに。
この命に、それだけの価値はないだろうけど。
大切なもののために、命くらいは釣り合うだろうか。
きっと、足りないだろうけれどそれでも。
浮かんでは消え、思い付いては忘れ、思い出しては痛む。
きっと私にも、意味があるはずなんだ。
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