これは、内緒の話


君の背中に手を触れる。

その輪郭を、熱を、覚えるように、刻み込むように、

私の中に深く突き刺して滲みこませるように。




あなたを忘れないように

あなたの声を、頭の中に満たす。

あなたの呼吸を、胸の中に隠す。

あなたの鼓動を、心臓に移す。

あなたを少しでも多く私の中に住まわせる。

離れてしまっても、背筋を伸ばせるように。

いつか分かたれる日が来てしまうから。

その日のために、苦しくないように。





だから、あなたに私は何を残せるだろう。

私の声も、

呼吸も、

鼓動も、

熱も、

あなたは愛おしいと思っていてくれているんだろうか。

私はあなたの胸の内を知らないのだけれど。

きっと、あなたも、私の胸の内を知らないんだろうけれど。






ねえ、だからこれは内緒の話。

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