I'm here.




君には見えないかもしれないが、私には見えるよ。君がここにいること。

だからどうか、不安にならないで。



そっと閉じた瞼も、行き場を失くした両の手も、吐き出せなかった言の葉も。

今も君の後ろに、落ちているよ。



ひとつひとつ落下しては、ひとつひとつ積もっていく。

水底の澱のように、見えにくいかもしれないけれど確かにあるよ。



奪い去られた光も、向けられた悪意も、受けた傷の痛みも。

今、君と私の間に落ちている。




ひとつひとつ拾い上げては、ひとつひとつ箱に詰めて。

鍵をかけて、すべてをそのまま愛せる日まで。

君が愛せないのなら、愛せない君ごと私が愛するよ。

だからどうか、今はここにいて。




知らなかったかい?

私も今泣きそうなんだ。

酷く冷たい暗がりに居たから、君の体温に触れただけで泣きそうだ。



ああ、そこに居るんでしょう。

触れるだけの指先はそのままにしておいてくれないか。

確かに君がそこにいると、私に確信をくれないか。



二人して泣いたっていいじゃないか。

きっとここには二人きりだから、いくら泣いたって可笑しくはないさ。

だからどうか、君の涙も熱も悔いも、私に分けてはくれないか。







大丈夫、君は誰にも傷つけられたりしない。きっと君が折れるときもそばにいるから。背中越しに手を伸ばして、光が見えなくても心配ないよ。

私が影なら、君は光に成れるから。

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