沈んだ体を持て余して

気だるい体がベッドに沈む。

鉛のように、ずっしりと。


自分のものではないような錯覚を覚えるほど、意識の奥底が沼のように私を飲み込もうとする。

このまま意識が沈んでいくのを、私は望み

2度と目が覚めないことを、私は祈った。


祈ったところで次の朝はめぐってくる。私の番が、めぐってくる。

朝日がまぶたを焼く。

そうして眠っても重たい体を引きずって、今日を生きる。


何かがあるわけでもない。

必要とされているのかも、不確かで。

私に価値などないのかもしれないが、生きる他許されない。


しにたいと口にすることすら、この国では禁忌で

わたしたち同志は、どうにか今日を生きていくしかない。ふいに死を選ばぬように、ひとつずつ片付けて、一歩ずつ前に進めるように。


どうか、今日も眠れますように。

どうか、あなたも眠れますように。


美しく楽しいばかりの毎日ではないかもしれないが、積み重なって礎となるはず。

今日までの今日が続いて、今までが人生になる。


私だけの、あなただけの、人生に成る。


だから、今日もおやすみなさい。

次に起きてまた出会えたら

わたしたちだけの今を生きる証にして。


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