夏の風に、秋の空。

君がいない。

夏空の元、もうすぐ終わってしまう夏に寂しさを感じながら

少しの焦燥感と、それでも感じる確かな恋しさを、端末の中に閉じ込めた。


必死に画面を見つめて、これじゃないと首をひねりながら

次に君に会った時に、話ができるようにと必死になりながら画面をタップする。


背中や額を汗がいくつも流れていく。シャツが汗を吸って気持ちが悪い。

でも、そんなことはどうでもいい。

早く君に見せたい、この景色を切り取らなきゃ。


少しだけ乾いた風が、髪や服をなびかせる。

確かに、夏は終わろうとしているのかもしれない。

白いシャツの隙間からのぞいた素肌が、まぶしいと感じたのは内緒だ。

その、夏も終わる。


君に焦がれる、長い冬が来るのも時間の問題だろう。

いくつかの画面を経由すれば、君に今すぐにでも届けることができるこの景色を、

すぐに送らないのは君と話がしたいから。


きっと、君は知らないんだろうけど。

知らないままで、良いんだけど。


夏の風に、秋の空。少しちぐはぐだけどこの景色が好きなんだ。



夏の風に秋の空

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