さようならを、言う練習。

さようならを、言う練習。

初めまして、さようなら。

そうやって、生きてきた。


初めまして、ご機嫌いかが。

そうやって、笑いかけて

今までだって、そうやって

誰にでも笑って来たんでしょう?


私だからって、特別じゃなくて

今までだって、誰にでも

そうやって笑いかけてきたんでしょう?

その手のひらは、その指先は

私の為にだけ、存在していないんでしょう?


早く、してくれないかな。

私は、ここにいるのに。

早く、してくれないかな。

私は、ずっとここにいるから。


さようならを、言う練習。

初めまして、さようなら。

そうやって、これからも。


お久しぶりね、ご機嫌いかが。

嘘でもいいの。何でもいいの。

ただ、私を見つけてくれたなら、

ずっとここにいたの。

見つけてくれた、あなたの気まぐれでも。

それでもいいから、ありがとう。


出会ったら、いつかお別れ。

その日が来るまで。

心臓が、止まってしまうその日まで。

熱が冷えていってしまう、その瞬間まで。


その時まででいいの。

そんな贅沢、言わないわ。

ねえ、その手のひらで包んで。

その指先で、頬を撫でて。

それだけでいいの。

それだけで。いいから、


早く見つけて。声を聴かせて。

私も、探すから。

そうしたらきっと、いつかさようなら。


だから、


さようならを、言う練習。

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