追記 再会(一)
注:今更ですが、ラブラブバカップルが暴走しております。R15なのかギリギリといったところです。一応注意を喚起致します。時系列的には二人が仲直りした後、アナの第一子妊娠判明の前です。
***
― 王国歴1029年 年末
― サンレオナール王都
アナとジェレミーの新婚夫婦にとって大波乱だった秋から冬に入り、年も終わりに近付いた。アナは学院編入後、初めての試験も無事に終了、年末年始の休みに入っていた。近衛騎士のジェレミーも学生のアナほど休みはないが、来週から少しゆっくりできる。
アナは試験勉強に精を出し少し疲れ気味だからか、何となく最近は魔力があまりないのを感じていた。だから二週間だけでも休めるのはありがたかった。休み中の宿題はもちろんあるが、開放感を感じていた。二十歳過ぎてから学院に通い始め、周りの十代の級友たちの中で学ぶのも最初は慣れなくて大変だったのである。
その夜、アナは自室から侍女も下がらせ、湯を浴びて寝衣をまとおうとしてふと思った。
(明日はジェレミーさまもお休みね……あっ、そうだわ!)
アナはバスローブを羽織っただけで自分の洋服箪笥に先日仕舞っていた服を取り出し、思わず声に出していた。
「今晩はこれを着ましょう。いい機会だわ! 休みに入って休養したから私の魔力も少し回復してきたみたいだし、ジェレミーさまもきっとお喜びになるに違いないし、うふふ」
その日は遅出だったジェレミーの帰りは夜遅かった。彼が帰宅した時には階下にはもう人は居ず、セバスチャンも他の使用人も皆休んでいるようだった。ジェレミーは二階に上がり、アナの部屋の扉を軽く叩いた。扉は開けず、外から声を掛ける。
「アナ、帰ったぞー」
「旦那さま、お帰りなさいませ。今、湯から上がったところです。すぐに旦那さまのお部屋に参りますので」
「分かった。じゃあ俺も風呂に入るとするか」
そしてジェレミーは自室の浴室に入った。しっかり暖まり湯から上がった彼は薄暗い部屋の中、寝台の上にちょこんと座っている小さな影を目にした。
「ジェレミーさま、お帰りなさい」
「アナ?」
それはアナの声だったが、彼女はいつも旦那さまと呼ぶのだ。その影は寝台から下り、タタっとジェレミーに駆け寄った。
「私です、ジェレミーさま」
「ニッキー? 本当にお前なのか?」
髪の短い、白いシャツに濃い色のズボンを着た少年姿のニッキーだった。ジェレミーがそう言い終える前にニッキーは彼に飛びついて首にぶら下がった。
「はい! お久しぶりです」
「ニッキー、会いたかった! 何か月ぶりだ? 夏にお前が消えて以来だな。ちょっとよく顔を見せろ」
コアラのように自分にしがみついているニッキーを抱えたままジェレミーは寝台の横の明かりの側に移動した。
「ああ、本当だ、ニッキー」
彼はニッキーをそっと床に下ろし、両手で彼女の頬を軽く挟み、ついばむようなキスをした。ニッキーの目には幸せそうに微笑むジェレミーが映っている。
「ジェレミーさま、とても嬉しそう」
「そりゃぁそーだろ。ニッキー、俺の所へ戻って来てくれてありがとう。愛してる」
彼は再び軽くニッキーの額にキスをした。ニッキーはジェレミーを見上げて言った。
「あの、私もです。ニッキーとして現れる、って以前お約束しましたから。それから……えっと、その……厳密に言うと私はもう純潔ではないのですけれど……ニッキーとしての初めても、ジェレミーさまに奪っていただきたくて……」
ニッキーは恥ずかしくなったのか、その言葉の途中で下を向きジェレミーの広い胸にそっと頭を預けた。
「お前な、言うことが破壊力抜群……」
体のある部分に血液が集まって来るのを感じたジェレミーはニッキーを抱き上げて寝台に押し倒した。彼女の額に頬に唇にキスの雨を降らせながら、シャツを脱がせ始める。
「ああ、お前をこうやって脱がしてアレしてコレして……ってもう何度も夢に見たんだ……」
首筋に、鎖骨にキスは下の方へ下りてくる。そこでジェレミーのシャツを脱がせる手がふと止まった。
「ニッキー、これ何だよ! この布!」
胸に巻いた布のことである。
「あ、だってニッキーになる時はいつもこうして巻いていましたから」
「今更もうここまで再現する必要ねぇだろ! なんかさっき抱きつかれた時にさぁ、胸がなんか
「えっ、やだぁもう!」
「ヤダァ、じゃねえよ。小さい胸が余計潰れて小さくなるっつーの! まあこれをひん
「やっぱりジェレミーさまももっと大きい胸の方がお好みなのですね……私もうこれ以上成長しないと思うので、変幻魔法で膨らませましょうか?」
「いや、そんなインチキやめろ。あのな、胸はデカさじゃねえんだよ、形と感度だ!」
「そうですね! ジェレミーさまは男の子もイケるとおっしゃってたくらいですものね!」
「ゲッ、良く覚えてんな、お前」
「もちろんデス!」
ジェレミーの手は先程からその問題の布を脱がせるのに四苦八苦している。クスクス笑いながらニッキーは自分で巻かれた布をはずした。
「な、そんなもん巻いてると苦しいだろ。こうやって男の子姿のニッキーを脱がせるのも萌えるけど、お前がドレスを着たところも見てみたいよな、今度は」
ジェレミーは今度は彼女のズボンに手をかけている。
「はい、分かりました。ジェレミーさまのご要望通り、次はドレスで現れます」
「お前にはピンクとか似合いそうだな。でも何を着ていようがお前はお前だ。好きだ、ニッキー」
「私もです、好きです、ジェレミーさま」
「さあ、そろそろしゃべくるのはもうやめて、行為に集中するぞ」
「うふふ、もうジェレミーさまったら! うっ、あふ……」
くすくす笑いをしているニッキーの口はジェレミーのそれで塞がれてしまった。
再会(二)に続く
***ひとこと***
結婚後初めてニッキーが現れた時の話です。最初、本編に入れようかとも思ったのですが、最終話で数年後のニッキーとジェレミーの語らいをより印象付けたかったので番外編になりました。
念願の『ニッキープレイ』にジェレミーさま、いつになく燃えるのですが……
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