このエピソードを読む
2019年4月23日 08:24 編集済
私はこういうのが好きです! 「こういうの」とは、妨害にめげずにがんばるアナさん? この1人で向かい風に立つようなアナさんも好きですが、ここでは違います。 なら、妨害の件をアメリさんとだけの秘密にするところ? そのルクレール家に迷惑をかけまいという心意気も好きですが、こちらも違います。 ここで、私が一番の好きは「設定が活きている」という点です! アナさんが貧乏貴族の子女であり、裁縫ができたという点です! 経済的に苦しいとは、このストーリーの前提ですが、しばらくその事実(設定)が活きた場面がありませんでした。ジェレミーさんがアナさんの領地(実家)へ行って以来でしょうか? 経済的に苦しいという設定が読み手の気持ちから薄れた頃に、重要なアイテムとして使用されたのです! しかも、最大のピンチに活きたのです! 私の心にグッと、スコップを突き立てて、深く潜り込んだ薄れた気持ちを掘り出された思いでした。 私は、こういうのが好きなんです! 一番の事を先に書いてしまったので、前後しますが、イザベルさんもよかったです。なにか、心の大きな後ろ盾をもらったようで、頼れる大木を見つけたようで、不安なアナさんには心強いことでしょう。 ドレスのほつれを見つけたアナさんの心情表現もよかったです。 馬車で無言、参列者の前でスカートが落ちたらとの想像、家の名に傷がつくこと、新しく雇っていた少女、その少女が純粋で働き者だったこと、でも、おそらくその少女が犯人であること、アントワーヌさんの助言を活かせなかったこと、そして、犯人よりも直すことが先決であると転ずる思いと、婚礼にはお金がかかっており、『何の苦労もなく甘やかされて育った貴族の令嬢の醜い嫉妬』には負けないという決意です。 この続けざまに押し寄せるアナさんの心情表現が、せっぱつまった感じで、読み手としての気持ちも焦らせていきました。 しかし、アナさんの目的意識がハッキリしており、ぶれずに読めるのです。 次へ次へと私の心が、物語へと引っ張られました。 このアナさんの心情表現は大変勉強になりました。 現地に着いた時も、アメリさんよりも先に控え室へ行くなど、時間的に余裕がない演出となっています。 アメリさんへの口止め、『一人で乗り切って見せる』決意、アナさんの性格が前面に出ていました。誰かに泣きつくなんて、全然考えていません。 ジェレミーさんに下着姿を見られても、縫う手を休めません。アナさんの戦う決意、負けていられない気持ちが、ひしひしと伝わりました。 10分と時間制限をつけるところも、読み手を焦らせてくれます。それも、事情を知らせないで言うんです。男らしささえ感じます。 母親の話題が父親からもたらされて、読み手が天国の母親と一緒にアナさんを俯瞰します。読み手が一呼吸おける時間を与えています。 さあ、式場へと読み手の思いを向かわせています。 この誘導もお見事でした。 そして、もし何かあった場合、魔法で対処しようと考えるところに、まだ終わっていない、意地悪お嬢様の弾は全弾撃ちつくされていない、まだ何か残っていると読み手は予感します。 さらに、アナさんの魔法防御壁には粗(あら)があり、つけ入る隙がありそうと、読み手の不安を増大させています。 次の回も、事件が起きそうと、読み手に期待と不安をあおっています。 しかし、そこで終わらずに、『新侯爵夫人としての戦いの始まり』と明言することで、その期待と不安は次回に限ることではないと、読み手の心を、さらなる未来へ馳せさせる演出で締めていました。 この読み手の一歩先を表現した点もよかったです。 メッチャ読み応えがあり、ドキドキを楽しめる回でした! このように、この回は大変面白かったのですが、最後にちょっと引っかかった点を1つ、『さあ行きましょうか』と、控え室を出た後に、もう少し〝間”が欲しかったかな? と、思いました。 父親の元へたどり着く間の情景やアナさんの想いがあったら、準備から本番へ読み手の気持ちを転換させる時に、もっとスムーズにできたかも知れません。 生意気を書いて申し訳ありませんでした。
作者からの返信
亜逢さま、今回の話もお楽しみいただけたようで大変嬉しいです。 作者の私も好きな回です。何と言ってもアナの覚悟がイイですよね。アナはまだ学院で魔術を学ぶ前ですから、かなりの魔力を持っている彼女も細かいところまで使いこなせません。ですから針と糸でチクチクと人海戦術でいくのです。アメリも平民として育っていますから裁縫はお手の物なのですね。 細工をした犯人はアナが魔法を使えるということも、ドレスがほつれていることが分かって縫い直せるということを知りませんでした。アナは犯人にとってはなかなか手ごわいです。 飲み屋の女将、イザベルさんもいい味を出していますよね。自分で言っておりますが、彼女のキャラ好きなんですよ。酔っ払い相手の客商売をしているだけあって人物観察に長けていて、人生相談にも乗ってもらえるような頼りになる方です。以前「貴方の隣」でもリュックが恋のアドバイスをもらっていました。 犯人はきっとあのマチルダかどこかの貴族の令嬢だとアナは思っています。何の苦労もなく育ったお嬢ちゃまなどとはアナは背負っているものの重さが違いますからね。ジェレミーにただ憧れて彼の婚約者を陥れようと卑劣な手を使ってくるような人間なんかよりはよほど根性があります。王妃まで参列している晴れの日にルクレール家の面目、領地の復興のために既に使ったジェレミーからの大金、ジェレミーとニッキーとの三角関係などなど…… そう考えるとジェレミーには男主人公としてもう少ししっかりして欲しい所ですねぇ……今の時点アントワーヌ君やドウジュの方がよっぽど頼りになっているではないですか! まあ物語の進展具合からしてしょうがないのですが…… アメリは今の時点で王太子襲撃事件の時の怪我が完治しておりませんので杖をついて歩いています。ですからアメリは付添人を辞退しようとしましたが、アナが無理を言ってアメリ以外には頼めないとお願いしたのですね。ですからアメリは先に控室に向かうアナより遅れて来ます。アナもアメリを置いて一人控室に行くのは心苦しかったでしょうが、今は時間がありません。 さて、ジェレミーは花嫁控室に乗り込んできました。普通なら花婿は先に祭壇の前で待っていることでしょう。そして普通花嫁が遅いと迎えに行くのは花嫁の父親なのでしょうが、何も知らないジェレミーにも少しはアナの窮地を知ってもらいたかったのでこんな演出になりました。 再び、ジェレミーと仮面夫婦として結婚する直前に父親の言葉から母親のことを思い出したアナです。良心が痛みますね。でももう後戻りはできません。アナの決意が痛々しいです。 魔法の防御壁もアナは騎士道大会の時に見てヒントを得ていました。自分でも真似して練習していましたが、なかなか上手く行きません。 アナは敵が次に何を仕掛けてくるのか分かりませんから気は抜けません。しかし、ビアンカと仲の良い動物たちに他にも彼女を守ろうとしてくれる人もいます。彼女には味方も沢山いるのです。次回はどうなることでしょうか。 控室から大聖堂入場前の間についてのご意見もっともですね。この回はあまりに色々な出来事があり、アナの心情も揺れ動きなかなか書くのに力が要りました。もう少し読み直してみます。
2018年6月23日 04:15
がんばれ、アナ!
空知音さま応援ありがとうございます!アナは絶対負けませんよ。契約結婚だろうがなんだろうが、覚悟が違いますものね。
2018年6月3日 14:11
結婚式と言う幸せいっぱいの晴れの日のはずが戦いの場になってる。スカートは何とか対応しましたが、嫌がらせがこれだけとは限らないですし。あっ、あとジェレミーの心中も気になりますね。少し前に最愛のニッキーと別れたばかりですから今どんな気持ちなのか。でも今日はアナだけを見ててあげて。
私、この回のアナは特に好きなのですね。嫌がらせには絶対屈しない、ジェレミーと結婚するのは私なのよ!という彼女の秘めた強さを思い知らされます。アメリも少々驚いていましたね。ジェレミーは少しはアナのことも気にかけているのかどうなのか……
編集済
私はこういうのが好きです!
「こういうの」とは、妨害にめげずにがんばるアナさん? この1人で向かい風に立つようなアナさんも好きですが、ここでは違います。
なら、妨害の件をアメリさんとだけの秘密にするところ? そのルクレール家に迷惑をかけまいという心意気も好きですが、こちらも違います。
ここで、私が一番の好きは「設定が活きている」という点です!
アナさんが貧乏貴族の子女であり、裁縫ができたという点です!
経済的に苦しいとは、このストーリーの前提ですが、しばらくその事実(設定)が活きた場面がありませんでした。ジェレミーさんがアナさんの領地(実家)へ行って以来でしょうか?
経済的に苦しいという設定が読み手の気持ちから薄れた頃に、重要なアイテムとして使用されたのです!
しかも、最大のピンチに活きたのです!
私の心にグッと、スコップを突き立てて、深く潜り込んだ薄れた気持ちを掘り出された思いでした。
私は、こういうのが好きなんです!
一番の事を先に書いてしまったので、前後しますが、イザベルさんもよかったです。なにか、心の大きな後ろ盾をもらったようで、頼れる大木を見つけたようで、不安なアナさんには心強いことでしょう。
ドレスのほつれを見つけたアナさんの心情表現もよかったです。
馬車で無言、参列者の前でスカートが落ちたらとの想像、家の名に傷がつくこと、新しく雇っていた少女、その少女が純粋で働き者だったこと、でも、おそらくその少女が犯人であること、アントワーヌさんの助言を活かせなかったこと、そして、犯人よりも直すことが先決であると転ずる思いと、婚礼にはお金がかかっており、『何の苦労もなく甘やかされて育った貴族の令嬢の醜い嫉妬』には負けないという決意です。
この続けざまに押し寄せるアナさんの心情表現が、せっぱつまった感じで、読み手としての気持ちも焦らせていきました。
しかし、アナさんの目的意識がハッキリしており、ぶれずに読めるのです。
次へ次へと私の心が、物語へと引っ張られました。
このアナさんの心情表現は大変勉強になりました。
現地に着いた時も、アメリさんよりも先に控え室へ行くなど、時間的に余裕がない演出となっています。
アメリさんへの口止め、『一人で乗り切って見せる』決意、アナさんの性格が前面に出ていました。誰かに泣きつくなんて、全然考えていません。
ジェレミーさんに下着姿を見られても、縫う手を休めません。アナさんの戦う決意、負けていられない気持ちが、ひしひしと伝わりました。
10分と時間制限をつけるところも、読み手を焦らせてくれます。それも、事情を知らせないで言うんです。男らしささえ感じます。
母親の話題が父親からもたらされて、読み手が天国の母親と一緒にアナさんを俯瞰します。読み手が一呼吸おける時間を与えています。
さあ、式場へと読み手の思いを向かわせています。
この誘導もお見事でした。
そして、もし何かあった場合、魔法で対処しようと考えるところに、まだ終わっていない、意地悪お嬢様の弾は全弾撃ちつくされていない、まだ何か残っていると読み手は予感します。
さらに、アナさんの魔法防御壁には粗(あら)があり、つけ入る隙がありそうと、読み手の不安を増大させています。
次の回も、事件が起きそうと、読み手に期待と不安をあおっています。
しかし、そこで終わらずに、『新侯爵夫人としての戦いの始まり』と明言することで、その期待と不安は次回に限ることではないと、読み手の心を、さらなる未来へ馳せさせる演出で締めていました。
この読み手の一歩先を表現した点もよかったです。
メッチャ読み応えがあり、ドキドキを楽しめる回でした!
このように、この回は大変面白かったのですが、最後にちょっと引っかかった点を1つ、『さあ行きましょうか』と、控え室を出た後に、もう少し〝間”が欲しかったかな? と、思いました。
父親の元へたどり着く間の情景やアナさんの想いがあったら、準備から本番へ読み手の気持ちを転換させる時に、もっとスムーズにできたかも知れません。
生意気を書いて申し訳ありませんでした。
作者からの返信
亜逢さま、今回の話もお楽しみいただけたようで大変嬉しいです。
作者の私も好きな回です。何と言ってもアナの覚悟がイイですよね。アナはまだ学院で魔術を学ぶ前ですから、かなりの魔力を持っている彼女も細かいところまで使いこなせません。ですから針と糸でチクチクと人海戦術でいくのです。アメリも平民として育っていますから裁縫はお手の物なのですね。
細工をした犯人はアナが魔法を使えるということも、ドレスがほつれていることが分かって縫い直せるということを知りませんでした。アナは犯人にとってはなかなか手ごわいです。
飲み屋の女将、イザベルさんもいい味を出していますよね。自分で言っておりますが、彼女のキャラ好きなんですよ。酔っ払い相手の客商売をしているだけあって人物観察に長けていて、人生相談にも乗ってもらえるような頼りになる方です。以前「貴方の隣」でもリュックが恋のアドバイスをもらっていました。
犯人はきっとあのマチルダかどこかの貴族の令嬢だとアナは思っています。何の苦労もなく育ったお嬢ちゃまなどとはアナは背負っているものの重さが違いますからね。ジェレミーにただ憧れて彼の婚約者を陥れようと卑劣な手を使ってくるような人間なんかよりはよほど根性があります。王妃まで参列している晴れの日にルクレール家の面目、領地の復興のために既に使ったジェレミーからの大金、ジェレミーとニッキーとの三角関係などなど……
そう考えるとジェレミーには男主人公としてもう少ししっかりして欲しい所ですねぇ……今の時点アントワーヌ君やドウジュの方がよっぽど頼りになっているではないですか! まあ物語の進展具合からしてしょうがないのですが……
アメリは今の時点で王太子襲撃事件の時の怪我が完治しておりませんので杖をついて歩いています。ですからアメリは付添人を辞退しようとしましたが、アナが無理を言ってアメリ以外には頼めないとお願いしたのですね。ですからアメリは先に控室に向かうアナより遅れて来ます。アナもアメリを置いて一人控室に行くのは心苦しかったでしょうが、今は時間がありません。
さて、ジェレミーは花嫁控室に乗り込んできました。普通なら花婿は先に祭壇の前で待っていることでしょう。そして普通花嫁が遅いと迎えに行くのは花嫁の父親なのでしょうが、何も知らないジェレミーにも少しはアナの窮地を知ってもらいたかったのでこんな演出になりました。
再び、ジェレミーと仮面夫婦として結婚する直前に父親の言葉から母親のことを思い出したアナです。良心が痛みますね。でももう後戻りはできません。アナの決意が痛々しいです。
魔法の防御壁もアナは騎士道大会の時に見てヒントを得ていました。自分でも真似して練習していましたが、なかなか上手く行きません。
アナは敵が次に何を仕掛けてくるのか分かりませんから気は抜けません。しかし、ビアンカと仲の良い動物たちに他にも彼女を守ろうとしてくれる人もいます。彼女には味方も沢山いるのです。次回はどうなることでしょうか。
控室から大聖堂入場前の間についてのご意見もっともですね。この回はあまりに色々な出来事があり、アナの心情も揺れ動きなかなか書くのに力が要りました。もう少し読み直してみます。