序章3


 西暦3965年。


 月面の同研究所で、

 科学者リスト・ウォンが人の記憶をセーブしておくシステムと、記憶を外科的手術なしで、人の脳に取り組むことが

でき得ると学会で発表し、その開発に取り組んでいた。


 西暦3973年に木星圏のあるコロニーでクローンが合法化されたのを契機に、その研究に興味を持っていた木星の有力な政治家や企業は、その記憶を保管する開発に多くの投資をした。


 リスト・ウォンのクローンであり、娘でもある科学者リン・ウォンが完成を目前にて亡くなったリストの研究を引き継ぎ、3975年にそれを完成させ

た。



 その翌年には太陽系内の市場に流通させ、


 人類は一度死んでも、記憶をセーブしていた時点の記憶を持ったクローン、遺伝子上まったく同じ存在として復活することのでき得る結果となった。


 しかし、この記憶セーブを可能とした超低周波が

 見つけ出される以前に金と手間暇をかかる方法にて

 偽りの永遠を享受している者たちがいた。

 その彼らの貪欲な探求心によって、今の方法を取得していた。


 ※

 以前行われていたこの手法は、とても、繊細且つ時間が最低でも15年はかかるものであった。


 クローンに自分の記憶を入れる為に、まず、核を除いた卵に自分のDNAの核をいれ、母体となる人

の子宮によって約10ヶ月の後に生まれでた赤子の頭

蓋骨が、 オリジナルの脳味噌が入る程度に育つのに約15年程待ち、


 脳の移植手術を行う。


 この際に、神経を傷つけぬ様に細心の注意を払う。

 別に移植と言っても、クローン体を使用すれば拒

絶反応がまったくいい訳ではないがリスクは少なく、


 しかし、時間と金銭の都合上、死にたてほやほや

の死体を利用した、首から下の肉体の交換などの行為が22世紀後半から悪習として一部で行われて来た歴史がある。



 現在、太陽系圏内における記憶のセーブは次のようになっている。

 就寝中の脳波、α波の状態時にある一定の超低周波に合わせる。


 そして、各個人の家に一つはあるセキュリティー

 独立型AI、実態をもたない立体映像の手により、

 各コロニーの中核にあるホストコンピュータの守護する15のファイヤーウォールと各シェルターの厚さ1mもある13重もの隔壁に守護されている。 

 その記憶は砂状の一粒の砂塵に人の一生分1ミクロほどの円錐状鉄板の原子に書き込んでゆく。

 

 生物以外の原子であれば何にでもセーブは可能である。

 個人においても、同じく記憶のセーブデーターを誕生石などに書き込んで所持している場合もある。

この記憶のセーブに必要な睡眠時間は最低でも6時間は必要となる。


 他に左記のような特質を持つ。 人の記憶をセーブした石などに限定されるが、ある一定の光りを当てその反射軸を音に変化させるとメロディとなり、

 人それぞれの人生の音楽を奏で出す。

たまに、名曲とまったく同じ音楽を奏でる記憶を持つ人もいるといわれる。

 石に刻まれたデーターはその持ち主の肉体にしかセーブができない。

 もし、使用方法を間違えると、セーブした記憶又は、インストール先の脳の相互間が合わないので、他人の記憶をインストールされる事は不可能だった。

 もし、盗まれたとしても、この特性がある為に個々の人権は守られる。



 人は曲がりなりにも、

 


 永遠を手にした。

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