第4話
7時頃になり、明乃さんと沙織さんが起きてきた。みんな休日だって言うのに起きるのが早いな、とか思いながら。
朝食はベーコンエッグにソーセージ、食パンをトーストしてサラダ、ヨーグルトにオレンジを乗せたものだ。普段はもっと適当だが、まぁ今日だけだろう。
テーブルの上に朝食を配膳し、全員が席に座る。それぞれが準備された朝飯を食べ始めた、
「いつもこんなに凝ったもの作ってるの?」
「いいえ、恐らく今日だけですよ。偶然にも早く起きたもので」
「ごめんなさいね、沙織がお邪魔してしまったようで。その子昔から寝相が悪くて大変だったのよ」
「お、お母さん!」
コロコロと笑いながら話す母親に、顔を真っ赤にして文句を言っている娘。微笑ましいのだろう。
「そうですね、今朝も気が付いたら床の上でしたから」
「拓海君まで……もう!」
「拓海、お前本当にデリカシー無いのな。女性は優しく扱うものだぜ?」
「あーはいはい」
「それで、今日は何時ごろに出掛けることになってるんだ?」
「さぁ?」
「さぁってお前な・・・・・・とりあえず10時頃だ、それまでに用意を済ませておけ」
「は?親父も来るのか?」
「今日何を買いにいくのか聞いてねえのか?」
全く聞いてない。出掛けるって言うことだけを押し付けられたのだ。
「今日は色々家具とかも買い足しにいくんだよ。足りねえもんが色々あるからな」
「ごめんね、詳しいことなにも伝えてなくて」
「別に怒ってはいない、それに直前になって予定を伝えられることには慣れている。御馳走さま」
さっさと朝食を食べ終え自分の分の食器を洗い乾かしておく。今から寝たら確実に出かける時間を過ぎる。眠いが我慢をするしかない……
* * * * * * * * * *
十時ごろ、親父の運転する車に揺られることおよそ二十分。それなりの規模のディスカウントストアに到着した。明乃さんは留守番だ。
家具や日用雑貨、家電やゲームに至るまでほとんどの品がここで揃う。ここで買えないものと言ったら生鮮食品や小説、雑誌などの書籍くらいだろう。
それだって併設されているスーパー、本屋があるので実質何dも揃うと言っても過言ではないだろう。
「それで、結局何を買うんだよ……ふわぁ……」
「何だお前、でっけえ欠伸しやがって」
「眠いんだよ、起こされたの三時だぞ……」
後ろで沙織さんが顔を赤くして俯いているが、気にしてられない。
「帰ってもいいが、自分の足で帰れよ。交通費も出さねえからな」
「はいはい、分かってるよ。それで?」
「クローゼットだけじゃ服が入りきらなくて……」
「だから服を入れられるチェスト、後は足りない雑貨諸々だ」
「だったら効率重視だ。俺は足りない雑貨なんかを集めておくから、棚系統は二人で行って来てくれ」
できれば大きいものや重いものは運びたくない。それに俺はインテリアや内装関係のセンスは壊滅的だ。
「アホか、お前が重いもの運ばないで、誰が運ぶんだっていうんだよ」
「親父だろ?」
「俺は腰痛持ちだから無理だ」
「あの……私のものですから自分で持ちますよ?」
「女性に持たせるほど人として終わってねえよ、なぁ拓海?」
「俺に振るなよ……分かった、分かりましたよ」
「それでこそ我が息子だ」
「うぜぇ……」
買い物かごを押しながらインテリア関係のものが置かれている場所へと向かう。その途中に日用品や飲料などを買い足しておく。そうしているうちにインテリア用品売り場へ到着した。
「選んでこいよ。俺はこういうのどれ選べばいいか分からんからここで待ってるぞ」
センスが崩壊しているというが、この手のものはサイズが合えばいいんじゃないかと思う。チェストや棚など売ってるもののデザインはそう大差ないから、そう感じるからこそセンスが崩壊しているのだろう。
「う、うん、分かった・・・・・・どこにも行かないでね?」
頷き了解の意を示す。それを確認したところで沙織さんは売り場へと歩いていった。
そうはいってもここはホームセンターではない。専門的な店に比べれば置いてある品数はそこまで多くない。時間はそこまで掛からなかった。
「拓海君、選んだけどどうすればいい?」
「籠に乗せちゃうから、案内してくれる?」
沙織さんの案内のもと、チェスト売り場へと歩みを進める。沙織さんの選んだものはそこまで大きくなく、コンパクトに収まりそうなものだ。
チェスト自体はそこまで重くはない。殆どがプラスチック出てきてるためとても軽い。それを日用品とは別に用意していた籠にのせる。
「これだけでいいの?」
「大丈夫だよ。あとは備え付けられていたクローゼットで収まるから」
「親父、他に買うものはあるのか?」
「うん?何だ、もういいのか?」
「本人が大丈夫って言ってるなら大丈夫なんじゃない?」
親父の受け答えで他に買うものはないと判断。二人を連れてそのままレジへと向かう。
すべての商品の清算をし終え、親父が会計をしている間に日用品の類いは袋に入れていく。
親父が会計をし終えこちらに向かってくる頃には殆どの商品を入れ終えていた。
最後の商品を袋に入れ終え、駐車場へと向かう。後部座席のドアを開け、そこに先程のチェストを入れる。後方の扉を開き他の商品を入れる。
「これ、落ちないように押さえてて。別に落ちて壊れてもいいなら押さえてなくてもいいけど」
後部座席に乗っている沙織さんに、チェストを指差しながらそう伝えると頷いていた。
それを確認し、助手席へと乗り込み帰路へと着いた。
* * * * * * * * * *
十二時ごろ、我が家へと帰宅した俺たちは早速買ったものを家に運び込む。食品日用品系は一旦リビングへ、その後チェストを苦労しながら沙織さんの部屋に運び込む。
その後昼食を作る。結構いい時間なので簡単にできるナポリタンだ。鍋に水を入れて塩を入れて麺を茹でる。この茹で時間は袋の表示時間よりも一分ほど短くても問題は無い。茹でた後にまた火を通すから、袋の表示時間の通りに茹でると柔らかくなりすぎてしまうのだ。
面を茹でている間にフライパンにオリーブオイルを敷き、薄切りにした玉葱、ソーセージ、ミックスベジタブルを炒める。
麺が茹で上がったところでざるに上げ水気をよく切り、炒めていた具材に麺を投入。水気を切らないと油が跳ねて熱い思いをしてしまうのだ。
軽く火を通したところにケチャップ、粉末のコンソメ、塩コショウで調味をして麺全体に味が着いたところで火を止め皿に盛り付ける。
「すいません、時間がなくて簡単なもので」
「大丈夫よ、むしろ私が作っておけばよかったわね」
「お母さんが料理!?だ、駄目!」
顔を青ざめながら沙織さんが必死に明乃さんを止めていた。何があったか知らないが、余りよろしくないことが起こるのだろう。
俺以外の三人は談笑しながら食しているが、俺は黙々と食べている。談笑しながら食べるのには慣れていないという以前に苦手で、行儀が悪いと思っているのだ。
「御馳走さま、食器は各自で洗ってください」
自分の食べ多分の食器を洗い、水気を拭きとって自室へと戻る。そのままベッドに倒れ込み、目を閉じた。数分もしないうちに俺は深い眠りへとついた。
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