第5話
深くゆっくりと息をする。 吸って……吐いて……吸って……
心臓がトクントクンと、鼓動を打つ。
とても静かに。
遠くから、切れ間のない振動音が聴こえてくる。
すこし頭痛がする。
キュゥと頭を締め付けられたような……
掌を動かそうとしたが動けない。
意識が遠く昇りつめる。
懐かしい、ざらざらした感覚や、内側に堅い物を含んだ柔らかな感覚と触れ合いながら、上へ上へ上昇して、下の方に記憶やら、ごちゃごちゃとした感情を、置き去りにして、ピーンと張った糸のような細い細い意識のトンネルを、ゆっくりと、やがて速度を増して時空の先へ、ずっと先へ。
胸にすこし痛みを覚える。
ふいに辺りが真っ暗になって、一瞬後、私は宇宙になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます