終身刑者

実は、前回の戦争の時に、終身刑になったものは、あのもの以外にもいた。


もちろん、ほとんどが今回の戦争で、そのまま領地を引き継いだはいいが、それでも税が少なすぎて、税を上げ、その後自分の為に国の法律に逆らうようなことをしまくったような者たちだ。


そして、そもそも、今回の戦争の敵側の王族というのも、ここでつかまっていた。


しかし、その敵側の国の王族に関しては、すでにこの収監所には存在していない。


何故なら、彼らは、すでにストレスに耐えられなくなり、自殺という手を取っている。


与えられている者は、土を掘る用のシャベルと、作業に必要そうな、ひもだけだった。


そもそも、この作業には本来、そこまでひもの存在はいらない。


頭のいい物だったらそのひもを使ってできるだけ楽をしようとするのだろうが、ここにいる者たちに関しては、勉強といえば、経済学や、内政学ばかりで、物理学に関して詳しいものはほとんどいない。


つまり、このひもを用意した本当の理由は、収監上の中にある気を使って自殺がしやすくするための物だ。


「そろそろ限界じゃないか?」


その言葉は、収監所内を見て看守はそんなことを言った。


しかし、その言葉は本当だった。


すでに囚人たちに関しては、限界が近づいてきている。


それもそのはず、意味のない労働のくせに、無駄に広い土地を使って、囚人たちが一切かかわりを持てないようにしているので、他の人としゃべりながら時間をつぶすということもできなくなっている。


つまり、一人で精神的な問題を抱え続けなければいけないのだ。


そして、最近自殺者が増えてきているのだ。


「まぁ、今回は貴族ということで、それなりに耐えているのではないか?」


「そうですね。前の王族に関しては、すぐに音を上げて、死んでいきましたのに。」


「それに彼らに関しては、自殺の恐怖にも打ち勝てずに、結局体調不良で死んでいったからな。」


王族は、ストレスによって食べ物が食べれなくなっていっていた。


しかも、その量も普通の人にとっては、十分に斬れる量だったのだが、王族の肥えた体にとっては、一般人と同じ量の食事にされただけで、体にガタが来てしまったらしい。


女の王族に関しても、この収監所のご飯がまずくて食べれないとか言い出して、健康に良い物より、甘いものを食べていたり、味の濃いものを食べていたせいで、そのまま死んでいってしまった。


そして、そんな話をしてから数週間後、彼らも自殺をして、収監所から終身刑の者は完全に消えてしまった。


「さて、それではアイン様のほうに報告するか。」


もう収監所で、良く監視しておく必要のあるものに関しては、消えた。


ほかの物に関しては、一般人の中で、特に刑罰が重いものが入っているだけだが、彼らは所詮一般人出身なので、国宝レベルの道具を隠し持っているということはない。


ならば、あとは部下に任せていいなと思って、看守長はアインに報告に行くのだった。


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