思考

(とりあえず、終身刑者はいなくなったか。)


終身刑者がいなくなったことを確認したアインは、久しぶりに、暇になった。


(わかりやすい敵は滅ぼした。

領土に関しては、最近増やしたばかりなので、そこまで気にしない。

それどころか、これ以上増やしてしまうと統治がしにくくなってしまう。)


実際、今回の税金の勝手な引き上げに関しても、本国の方の権力が地方のほうまで行き届いていなかったから発生してしまったのだ。


(しばらくの間は、何もしないようにするか。)


幸いにも、今国を揺らがすレベルの問題はない。


それどころか、小さな問題すらも最近は少なくなってきている。


「アイン様。」


「なんだ?」


いきなり、入ってきたエリに少し驚きながらも、アインは返事をした。


「そろそろお嬢様方とも行動をしたほうがいいのでは?」


「それもそうだな。」


最近は昔よりは仕事が少なくなったが、それでも接触の機会というのは少ない。


「それじゃあ、明日当たり時間を空けてみるか。」


明日時間を空けるとは言っているが、今日は何も仕事はない。


しかし、今はもう昼頃、今からデートというのも少し時間が遅い気がする。


「わかりました。

しかし、明日のデートに関しては、自分の方から伝えてくださいね?」


「わかっている。」


普通に今でもかかわりは深いのだが、それでも最近、すでに熟年カップルのようになってしまって、相手がいなくなったら悲しいが、それでも常日頃から相手のことしか考えられないということはなくなっている。


そして、そのまま何の問題もなく、一日が過ぎた。


とりあえず、アインは3人に報告をした後に、明日はどこを回ろうか考えていた。


(正直、男が好むようなところにはいきたくないはずだ。)


それこそ、自分は転生者ということで、まだ剣や装備を買うことにドキドキを覚えているが、この世界でも基本的には女性は戦わない。


それどころか、この世界ではまだ男女差別というのは残っている。


もちろん、女性への暴力は法律で禁じられているが、それでも基本的には、女性は家の中で家事をするものというのは、どちらの性別の人間もそう思い込んでしまっているので、あまり女性の冒険者というものは出てくることはない。


(それに彼女らは、生まれながらのお嬢様だ、おしゃれのほうが興味あるだろう。)


アインはもともと地球の一般人ということで、だんだんと金銭感覚は狂いだし始めているが、それでもまだ庶民の感覚を分かっている。


しかし、彼女らに関しては、この世界に生を受けてからずっと常に人の上に立つ人間だったので、一般人のあこがれでもある、大盛りの肉なんかも興味ないだろう。


(それどころか、生ハムとか食べてそう。)


この時代ではまだ健康上、生ハムは危険なので、そこまで食べられていないがそれでも、そんな雰囲気がある。


(さて、明日は何をしようか…)


こうして、アインは一般的な頭で、上流階級の思考を考えるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る