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「男はみんなシャイですからね」
「シャイ?」
「ハナさんが美しいから、照れているんですよ」
「え、そんなまさか」
「ふふふ、それをハナさんが知らないとしても、ね」
高い高い山に咲いている特別な花。簡単に手が届かない高嶺の花だからきっとみんなが恐縮しているんだ。
「でも、女の子とも距離を置かれているって言うか」
「高嶺の花には、男女関係なく少し躊躇う気持ちが生まれるんじゃないでしょうか」
「高嶺の、花? 私が?」
「もちろんですよ」
「や、やめてください。自分のこの顔、好きじゃないんですから。可愛くないし、目だってつり上がっているし、背だって高いからなんだか冷たい感じがしませんか」
確かにハナさんはスタイルもいいし切れ長な瞳が印象的なクールビューティだけど、それが可愛いかどうかはべつとしても美しい事には変わりない訳で。本人がそれをどう思うかは置いておいて。
「冷たくて怖そうだから、取っ付きにくいんだとばかり。出来るだけ会社では柔らかくしているつもりなんですけど」
「ふふふ、きっと皆さん本当はハナさんと仲良くなりたいはずですよ」
「え、本当ですか!?」
そうですとも、そんな風にパッと笑った顔が少し幼く見えて可愛いことに皆が気付いたら。実は高嶺の花だとばかり思っていたのは自分だけで、本当は傍で咲く美しい花だと気付けたら、ね。
「きっとすぐにハナさんの魅力に皆が気付いて、仲良くなれるはずですよ。どうか安心なさってください」
「ふふふ、ありがとうございます、マスター」
いえいえ、お礼なんて言わないで。その笑顔だけで充分のお礼を頂きましたから。
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