- カクヨム執筆者(デュエリスト)の頂上決戦 -

ちびまるフォイ

この小説のせいで、レアカード(?)に傷がついたわ!!

「お前だけは……許さない!!」


「キキキ。自分の小説のアイデアを流用されたのがそんなに悔しかったか?

 しかしね、人気こそが正義。支持こそが真実なんだよ!」


「だったらお前の間違いを、俺が小説デュエルで証明してやるぜ!!」

「いいだろう、かかってこい」


「「 デュエル!! 」」


二人の執筆者(デュエリスト)の戦いの幕が切って降ろされた。


「では僕の先行と行こう! 僕はグルメ小説を召喚」


「グルメ小説……? PV数も高くない……。

 そんなのものを召喚していったい何をする気だ……」


「グルメ小説の効果発動!! 【安定更新】!!」


「な、なに……!? PV数とフォロワーがどんどん増えている!?」


「キャキャキャ! グルメ小説は飯を食って感動するだけだから

 ネタに困りにくく、1話完結だから新規にも読まれやすい!!

 初期値が低いから甘く見たな!!」


「くっ……! こんな大物小説を持っていたなんて……!」


「僕はフィールドに小説予約を2つセットして、更新エンドだ。

 さぁ、次はお前のターンだぜ?」


「そうさせてもらう。アイデアドロー!!」


小説を引くなり、そのまま効果を使った。


「俺は『自主企画』を発動!!

 デッキから★10以下の不人気小説をフィールドに特殊召喚!!」


「ほう」


「現れよ!! カクヨムに眠りし空気小説たち!!」


フィールドにたくさんの小説が並んだ。

相手のフィールドには小説が1種類しかない。


「形勢逆転だ。このまま数の力で押し切る!! 行け、小説たち!!」


「おっと、そうはいかないぜ。

 予約小説発動!! 批判エッセイ!!」


「なに!?」


―――――――――――――――

【批判エッセイ】

・〇〇を書くのはダメ

・登場人物のキャラづけはこうするべき

・誤字脱字に注意しないとダメ

・書籍化するには××のような作品を書くべき

―――――――――――――――


「しまっ……!? 俺の小説たちがどんどん執筆意欲を失っていく!」


「キャキャキャ! そうさ! 勢いだけで書いた小説群など、

 批判エッセイで全部無力化できるんだよぉ!! 残念だったな!!」


「しかし……まだ俺の小説は残っている!」

「ひょ?」


フィールドにはまだメンタルの強い小説が残っていた。


「全員が全員、いち意見に振り回されるわけじゃないんだ。

 悪いが、硬派ハードボイルド小説に批判エッセイはきかないぜ!!」


「キキキ。だから甘いんだよ。僕は2つ、小説を予約していただろう?」

「なに!?」


「もう1つの予約小説を発動!! 【応援コメント】!!」


小説が発動すると、触手がハードボイルド小説を拘束してしまった。


「貴様、いったい何を!?」


「キャキャキャ。応援コメントの効果発動。

 小説の応援コメントに「〇〇の話が見たい」とか書き込むことで

 小説そのもののコントロールを奪うことができる」


「そんな……!」


「批判には強くても、信者からの言葉には弱いんだよ!

 押してダメなら引いてみなってね、キャキャキゃ!!」


「すまない……相棒……俺は……」


「さっさと、デッキに手を置いてカクヨム退会したらどうだ?

 みじめな敗北をするよりもずっといいだろう!!」


そのとき、脳裏に相棒の言葉が聞こえた。



―― あ、今日傘持ってきてない



「……そうだったな、相棒。俺はまだ諦めるわけにいかない!」


「貴様、今の回想のどこに力を取り戻せる要素があったんだ!?」


「トランスジェンダー羽賀。俺はまだ一度もフィールドに

 小説を通常召還していないぜ」


「いまさら何を……」


「俺は、『カクヨムネタの小説』を通常召還!!」


召還された小説を見て、羽賀はお腹を抱えて笑った。


「何を召喚したかと思えば、一時的な人気取りのパロディ小説じゃないか!

 たしかにPV数は高いかもしれないが、ターン終了とともに

 記憶のかなたに忘れ去られる薄っぺらな小説だろ!」


「……」


「キキキ。まさか、一度ダメージを与えて

 一矢報いたとでもほざくつもりか? 所詮は底辺小説家の成れの果てだな!」


「いけ! カクヨムネタ! 攻撃だ!!」


カクヨムネタの小説が相手のグルメ小説を蹴散らし、

今注目の作品リストから引きずり下ろした。


「キャキャキャ。それだけのようだな。

 それじゃ、僕はひと思いにお前のライフをゼロにしてやろうかな」


「待ちな。俺の更新はまだ終わってないぜ」

「ヒョ?」


「速攻小説発動!! 【バーサーカー更新】!!」


「なんだそれは!?」


「これは新作小説に異世界転生小説が来るたびに、

 相手に攻撃することができる!! さぁ、覚悟はいいか!!」


「やめっ……」



「ドロー!! 異世界小説!!」


1HIT!!


「ドロー!! 異世界小説!!」


2HIT!!


「ドロー!! 異世界小説!!」


3HIT!!


「ドロー!! 異世界小説!!」


4HIT!!


「ドロー!! 異世界小説!!」


5HIT!!


「ドロー!! 異世界――」




「もう止めて!! 羽賀のライフはもうゼロよ!!」


「あ、相棒……」


「どうしちゃったの。カクヨム登録当初はあんなに夢と希望と

 執筆意欲と好奇心にあふれていたのに……」


「すまない。毎日の更新の中で、

 いつしか小説が自分の人気取りの道具になってしまっていたようだ。

 小説で誰かを楽しませるあの頃の気持ちを忘れていた」


「わかってくれたんだね」


「ああ」


そして、最後にもう一度ドローをした。



「ドロー!! 異世界小説!!」



説教くれていた相棒を、最後にぶん殴った。







【次回予告】 -----------------------


やめて!!


カクヨム運営の特殊能力で、これまでの小説が掲載停止になったら


カクヨムに依存しきっている作者の精神まで燃えカスになっちゃう!!



お願い、死なないで!



あなたが今ここで倒れちゃったら、これまで応援してくれたフォロワーはどうなっちゃうの!?


アイデアはまだ残ってる! 書籍化にこぎつければ、きっと許されるわ!



次回 『ちびまるフォイ 死す』



カクヨム、スタンバイ♪

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