第1章1節 コトダマノセカイ

第1話

この世界せかいには【言霊ことだま】という不思議ふしぎなものが存在そんざいしている。

それは基本的きほんてき不可視ふかしで、とある加護かごもとでのみ存在そんざい確認かくにんすること出来できる。

かれらはいろんな姿形すがたかたちをしていて、その種類しゅるい数千すうせんにものぼるとわれている。


そしてそんな【言霊ことだま】について精密せいみつ調査ちょうさおこなため修学しゅうがくすること義務ぎむづけられるのが【言霊ことだま】である。


現在げんざい言霊ことだま】を修了しゅうりょうし、【言霊ことだま学士がくし】となったものはたったの三十さんじゅうめい


そのなかでもコトリはそんな複雑ふくざつで、難解なんかいきわまりない学問がくもんの、およそ常人じょうじんには理解りかい出来できようもない領域りょういきまでもを網羅もうらしてしまった。


そんな彼女かのじょはあるおうからの招集しょうしゅうによりイェプノシュじょうにやってた。


「さて、おうなにをご所望しょもうで?」

「……おお、よったかコトリ。おぬし実力じつりょく見込みこんで、ってたのみがあってだな……」


王族おうぞく代々だいだい、どれだけ鍛錬たんれんめども【言霊ことだま】がえない。

そのおきてまったしんじなかったのが当代とうだいおう


カク=ジッキンソン・ドッペルマンである。


アホみたいにガリべんしたかれだが、結局けっきょくえるようにはならず、出来できるのは精々せいぜい浄化術じょうかじゅつ】とばれる、【言霊ことだま】のいかりをしずめるじゅつくらいである。

そのころコトリはかれ家庭教師かていきょうしをしていたのだが、そのはなしはまたそのうちすることにしよう。


残念ざんねんはなしよろこばしいはなし、どちらからきたい?」

「んじゃ残念ざんねんはなしきなものはとっておく主義しゅぎでね」

「でははなそう。学会がっかい連中れんちゅう相次あいついで行方不明ゆくえふめいになっている」

「……それっててきるしいんじゃ?」


学会がっかい、とは【神聖しんせい言語げんご学会がっかい】のことである。

かれらは言語げんごないし【言霊ことだま】を【かみ】のもとに、無差別むさべつ捕獲ほかくしている【自称じしょう慈善団体じぜんだんたいである。


やつらがなくなるとわるい【言霊ことだま】がえるのもまた事実じじつ、そういう【言霊魔ことだま】がっているのには、やつらも多少たしょう影響えいきょうしているのだ。

で、だ。らせ」

「それをってた」


彼女かのじょらしくない、むね高鳴たかなりがはやまる。


未発掘みはっくつの【古城こじょう】が発見はっけんされた。

――――【ハポーネ】のものかもれない」


【ハポーネ】。

その単語たんごいた瞬間しゅんかん、コトリの血肉ちにく興奮こうふんふるした。


存在自体そんざいじたい疑問符ぎもんふのついているまぼろし大国たいこく

言霊学士ことだまがくし】すべてのあこがれである、【言霊ことだま】のおさめしくに


……もしかしたら、もしかするかも。

コトリはうずうずしてきた。


彼女かのじょは、【ハポーネ】をたい一心いっしんで【言霊学ことだまがく】を修了しゅうりょうしたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

言霊学士コトリ 古城の迷宮 アーモンド @armond-tree

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る