九十六カウント目ミストラルの動向


「創造神様、最近頻繁に神が力を奪われるという事件が発生していると報告が上がっているのですが」

「そうか、奪われているのはどの程度の神たちだ?」

「それが黒側の統率者ばかり狙われておりまして」

「あそこは神しか入れぬ深層部のはず、犯人は神の中の誰かだろう」

「ええ、ですが目撃者の誰もあの顔の神は見たことがないと」


終焉の門を封じておくには世界の黒の力と白の力を白が強くなるように調整し続ける必要があり、その調律者が狙われているのだろうか。

だとすれば、その者たちのところへ行けるのは神のみなのだから犯人は絞られる、そして調律者という役を任せられるほどの手練れたちを倒せる実力者、そんなものがどの神にも顔を知られていないなんてはずはない。

それがノームか人間と神のハーフであるラッドでもない限りだが、しかしそれにもいくつか障害がある。ノームが突然変異したところで上級神には遠く及ばないだろう、それに突然変異なんてものが起きれば、それこそかをが知れ渡らないはずがない。

そしてラッドの場合、そもそもが神ではないのだから神たちが住むこの地に来れるはずもない。

この件は完全に迷宮入りだろう。


この時見逃していた可能性は、仲間の神に内通者がいる可能性だった。

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