三十七カウント目:自分で撒いた種


天界が赤く染まった、多くの神がアスタルテへと刃を向けてきた。

ノームも含め三百人以上が仕掛けてきた、最後の一人トラント・スィスを残し全てを気絶させた。

力の差を教えさせるには丁度良かったのかもしれない。

「流石は創造神、この程度では造作も無いようですね」

「貴様の目的はなんだ、これだけの事をしでかしたということは、目的は創造神としての特権の乗っ取りではないのだろう」

「察しが良くて助かります、でも、あなたは私には勝てない」

「とんだ自信だな」

「全ては理想郷のため、私は『エクスタール』の為に事を起こしただけです」

『エクスタール』その名前に身に覚えはなかった、だが、この反乱は一個人の物ではなく裏に大きな陰謀があるのだろうと、察しがついた。

「私の霊槍スティングレイと、絶対予知能力を持ってすればあなたには負けません」

「数字の神が予知能力の神とは恐れ入る」

「といっても、見えるのは三十六手先までですけどね」

「厄介だな」

神の予知に誤算は無い、つまりそれだけ適中率が高く外れることなど無に等しい。

「この世界は終わるべきなのです、といっても始まったばかりですが」

「いくぞ!」

トラントスィスが予知できるのは三十六手先のみ、ならばその予知を越える早さで攻撃すれば。

スピード、パワー共にトラントスィスを優に超えている。

なのに攻撃が当たらない、一撃もかすりすらもしない。

「流石は創造神、ふつうに戦っていたら私に勝機はありませんね」

まるでトラントの手のひらの上で踊らされているように、攻撃の位置をそうされているかのように手の内が読まれている。

「ほらほら、鬼さんこちら、手の鳴る方へ」

トラントが手を鳴らしながら後ろへ下がり始めた、完全にもてあそばれている。

こちらは攻撃を受けていないが、このままではらちがあかない。

「創造神をなめるなぁぁ!」

手の内を明かしていない攻撃なら、予知もできまい。

【神技:ゴッドインパクト】

トラントの腹部へ右腕の拳が入った、一瞬時が止まったように滞空し、トラントは弾かれたように飛ばされた。

「私を敵に回したことを地獄の果てで後悔する事だ!」

【神技:コズミックフラッシュ】

瞬時に構えた両手からエネルギー波が出た、そしてそのエネルギー波は宙を舞っていたトラントを飲み込み、完全に消滅させた。

戦いの終わりを告げるように、空中で分散したエネルギー波が、粉雪のように降り注ぎ天界に舞った。

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