2日目・3日目

朝。


起き上がって、カーテンを開けてみると、雪が降っていた。なかなかの大雪だ。

4月も下旬とはいえ、そこは東北地方。たまに終雪しゅうせつが襲う。


ミラ「ん〜おはようございます・・・」


私「みたまえ。外はいい天気だぞ」


私は見やすいようにカーテンを全開する。


ミラ「ええ!!豪雪じゃないですかー!!」


私「まさか、まだ雪が降るとは・・・。これから太平洋側を南下するとは言え、早まったか?」


ミラ「まぁまぁ・・・。今日くらい停泊して様子を見ましょうよ」


私「そうだな・・・」




停泊することを祖父母につたえ、我々はこたつに入った。


私「非常に寒い。気温的にも大丈夫か?基本的にはテントで野宿する予定だったが、死ぬんじゃないか?夏用シュラフしか買ってないぞ」


ミラ「現在の室温は7.1℃・・・。寒いですねぇ。死ぬ時は一緒ですよ・・・」


こたつの向こう側で笑顔を放ってくる。


私「御免だな。君は寒くないだろ。死なないし」


ミラ「ミラは、ご主人がいなくなったら死んだも同然です」


私「君は重たい女だな。まぁ、死なないようにがんばろうじゃないか」


ミラ「もちろんです!サポートいたします!」


私は頷くと、窓の外に目を向けた。大雪だ。






3日目も雪は止まなかった。


というか、降ったり止んだりを繰り返しており、時折晴れ間が見えるという、不安定な天気を見せている。



私「外は今日も雪」


ミラ「そんなものでしょう」


私「このままずっと旅に出れなかったらどうしような。一週間とか」


ミラ「まぁ、それはそれで仕方ないですよ」


私「いやだーーーーーー!!」


などと、嘆いていても仕方ないので、荷物やルートなどを今一度、整理することにした。



まずは黒いスーツケース。


ここにはLEDランタン・夜間走行用のヘッドライト・防寒用アルミシート・100均のパンク修理キット・たためるコップ・非常食のカロリーメイト。


そしてこのケースは密閉性にそこそこすぐれており、雨の侵入を防げるし、ダイヤル式のロックがあるので、防犯力も高い。なので、電子製品や貴重品なども入れる。


充電池・充電器・コード類・モバイルバッテリーなどだ。



次に、リュックサック。

主に衣類が入っている。シュラフもこの中だ。

歯磨きセットやカミソリなどの生活必需品、絆創膏や湿布やテーピングなどの治療キット、ボディーシートやマイ箸なんてのも入っている。



そして前カゴに入れている、ショルダーバッグ。

ここには使用頻度の高いものなどを入れる。


財布・カメラ(ソニーRX100・CanonKissX5+Tamron18-250)・ペットボトル一本・タオル・ティッシュなど。



あとは、どうしても大きくなってしまうテント。

ワンタッチテントで二人用のものだ。これでも小型だと思うが、やはりかさばりはする。


そして最後に、迷った挙句もってきた三脚。

これも意外と響いてきそうな重さと大きさだ。



ミラ「カメラは一台でいいんじゃないですか?」


私「それは以前説明した通り、使い分けが必要なんだ。コンデジは記録用、一眼レフは本格的に撮る用だ」


ミラ「ご主人が写真にご執心なのは存じておりますが、旅先で壊れたりしないですかね・・・」


私「壊れたら壊れたで良いよ。仕方ない。君は明日死ぬ可能性を考えて、『じゃあ頑張っても仕方ない寝よう』となるかね?」


ミラ「それとこれとはまた違う気はしますが、言いたいことはわかりました」


私「本質は違わないさ。もちろんリスクというものの大小は違うだろうが。現に、この旅もそうだ。危険は高まるが、それでも旅をする甲斐があるじゃないか」


ミラ「なるほどー。ロマンですね」


私「人生は浪漫だ!」


ミラ「人生はロマンだーー!」


私「復唱しなくてよろしい」


両手を突き上げるミラをたしなめる。



ミラ「それで、カメラでなにを撮るんですか?」


私「なに、ということはないが。風景であったり、物であったり・・・そうだな、先々での君を撮ろうか」


ミラ「私がモデルですか!」


私「そうだ。見目麗しい美少女である君が被写体になってくれれば、記録にもなるし、一つの作品にもなりそうだ」


ミラ「そんな、美少女だなんて」


私「そして、君との旅の写真をまとめて、写真集にしよう」


ミラ「良いですね!」


私「楽しみだ。ま、そのためにも二つのカメラが必要になるのです」


ミラ「100%納得です」



三日目が、そのように終わった。

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